2005 Fiscal Year Annual Research Report
IT等の科学技術の視点を踏まえたイスラム問題の現状と今後の展開に関する研究
Project/Area Number |
15252001
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
北村 歳治 早稲田大学, 大学院・国際情報通信研究科, 教授 (00329153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 作治 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80201052)
山崎 芳男 早稲田大学, 大学院・国際情報通信研究科, 教授 (10257199)
佐藤 次高 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10012981)
店田 廣文 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20197502)
長谷川 奏 早稲田大学, エジプト学研究所, 助教授 (80318831)
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Keywords | イスラムとIT / 学際的アプローチ / 東南アジアイスラム / 中東イスラム / 中央アジアイスラム / ITと科学・技術 / ITと経済活動 / ITと文化遺産 |
Research Abstract |
平成17年度の研究は、イスラムの科学性の再評価という研究課題に関しては、砂糖精製をめぐる農業技術の中の技術革新を、マムルーク朝時代の文献資料(イブン・アル=ハージュ)を分析し、エジプトが中世にイスラム世界でも有数の砂糖産出国に変貌していく史的背景と、砂糖黍の栽培法と製糖法に関する実態解明を行った。現代イスラム問題の分析に関しては、まずエジプトでは、開発政策と電子化事業の積極的推進が文化財行政に大きな影響を与えている点が報告された。イラク・イラン・シリアでは、民主化推進派と宗教界保守強硬派のせめぎあいの構図が続く中で、経済問題が置き去りにされ、人々の生活が生存持続な最低水準に押しやられて行く状況が分析された。湾岸諸国では、石油依存経済からの脱却を図り、産業経済の多角化を図る動きが活発化しており、東アジアやオセアニアとの経済関係強化も顕著となっている点が指摘された。トルコのEU接近についても、科学技術が主要なテコになっている点が注目された。トルコでは、トルコのEU加盟が積極的に推進されている問題も現地研究者との間で活発に討議された。またトルコとキリスト教ヨーロッパ世界とのさまざまな格差が歴然としている中で、ヨーロッパ側ではこれまで底流にとどまっていたイスラム問題が表面化し、イスラムのコミュニティ、ネットワークの問題がインターネット等の情報伝達の振幅幅を拡大させている傾向が論議された。イスラム金融はマレーシア等を中心に看過できない動きとなっており、国際的な金融資本市場の一角を占めるに至った経緯の分析が行われた。マレーシアやトルコでは、さらに海外からの投資拡大とともに、知識社会への脱皮の政策目的に向かって、コンピュータとコミュニケーションの相互利用を重視し、他国のスキルに依存しない人材育成やハイテク産業育成の動きが活発化している現状が把握された。
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