Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 弘嗣 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20192685)
沢田 健 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (20333594)
川幡 穂高 東京大学, 海洋研究所, 教授 (20356851)
大河内 直彦 IFREE, 第4領域, 領域長 (00281832)
坂本 竜彦 IFREE, 第4領域, 研究員 (90271709)
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Research Abstract |
今年度は,これまで採取したフランスの試料について各種の分析を進めた。まず,OAE1bイベント全体から採取した地表試料を研究して,無酸素水塊が海洋表層にまで達しなかった環境下での黒色頁岩層と,それが表層にまで発達したために表層の生物圏に大きな影響を与えた環境での頁岩層のあることが分かった。これらの堆積環境を精査するため,Paquir層を含む1.7mの区間を,鏡面研磨した結果,強い葉理が発達した部分,葉理が擾乱されて不明瞭になっている部分,そして葉理の見られない部分のセットが4回繰り返していることが分かった.さらに,1cm(約250年)間隔で微化石および堆積物組成を定量した結果,強葉理部では,浮遊性有孔虫,放散虫化石など表層の動物プランクトン,石英・植物片などの陸源砕屑粒子,有機炭素含有量やパイライト結晶が増加する一方で,底生有孔虫化石は多様性・個体数共に大幅に減少・消滅する傾向が認められた。Paquir層堆積時は陸からの栄養塩の供給量の増加によって表層の一次生産が増加し,その結果底層に無酸素環境が拡がったことが明らかになり,このサイクルが4回発生した結果,Paquir層が形成されたと考えられる. 高解像度解析については,昨年完成させた精密資料採取装置を用いてGoguel(OAE1a)層コアのうち,ラミナの発達程度が変化する層準と石灰岩から黒色頁岩への変化層準を1mm間隔で試料採取し,光学顕微鏡と走査電子顕微鏡を用いた群集組成の変化を精査している。また,この研究をさらに進めるため,ミラノ大学・ウルビノ大学の研究者と連携を取り,OAE層の標識地とされているイタリア中部のOAE1a層準とOAE2層準について現地調査を行った。2月末には関連の研究者が横須賀に集合して,これまでの研究成果を総合的に検討して,研究成果のとりまとめを話し合う予定である。
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