2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15256004
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
難波 裕幸 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (80237635)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津留 晶 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (00233198)
芦澤 潔人 長崎大学, 放射線影響研究所・臨床部門, 研究員 (10304932)
高村 昇 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (30295068)
青柳 潔 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80295071)
|
Keywords | 放射線 / 甲状腺がん / 国際ヒバクシャ医療活動 / 分子疫学 / チェルノブイリ / 生体試料バンク / セミパラチンスク / e-Learning |
Research Abstract |
チェルノブイリの小児甲状腺がん組織から核酸抽出をおこない管理・提供するチェルノブイリティシュバンク(CTB)に協力をしている。チェルノブイリ周辺の機関施設であるロシア連邦オブニンスク放射線医学研究所、ベラルーシ共和国ミンスク甲状腺がんセンター、ウクライナ共和国キエフ内分泌代謝研究所、セミパラチンスク医科大学より、研究者7名を受け入れ長崎大学にて被ばく医療の教育指導を実施した。ベラルーシ共和国ゴメリ医科大学とは、長崎からインターネットによる分子疫学の講義などの教育交流を推進している。また、現地の活動状況の支援、指導のために高村らが3週間ベラルーシに行き分子疫学、e-Learningについて直接指導した。海外拠点と連携し研究活動も行ない、放射線刻印遺伝子の検索を目的としてチェルノブイリの甲状腺がん組織から抽出したDNAを用いDNA修復に関与する遺伝子群(TP53,ATMとMDM2遺伝子)について放射線誘発甲状腺群と散発群との間でSNPs解析を行なった。その結果、いくつかのSNPsにおいて、小児あるいは成人の放射線誘発甲状腺がんに優位な相関を認めた。TP53遺伝子では、コドン72の多型によりProかArgのアミノ酸のどちらかがコードされる。Arg72は、Pro72に比べてアポトーシスになりやすいことが報告されているが、成人の放射線誘発甲状腺がんでは、散発群に比べて有意にArg/Argの比が低いことが判明した(Oncology Report in press)。またATM遺伝子のIVS22-77C/Tの解析では、T/T群が散発性群で有意に少ないという結果を得た。したがって、このパイロット研究の結果、大規模なDNA修復遺伝子群を標的とした分子疫学的な研究を多量のサンプルを用いて行なうことにより、放射線誘発甲状腺がんを識別するための刻印を見出すことができることが示唆された。
|
Research Products
(8 results)