Research Abstract |
人間が話し言葉で情報を説明するとき,小さな発話単位により情報を漸次的に伝え,受け手の反応に応じて説明を構成していく.本研究は,このような特徴を持つ説明を動的説明と呼び,計算機による動的説明法に関する技術の高度化を目的とする. 情報説明の従来研究は書き言葉による説明であり,方法も研究により異なり,一般性も明らかでない.話し言葉による説明では,交通経路案内を対象にした研究があるが,その技術は単純な説明をするレベルであり,受け手により様々な説明を可能にするための研究が必要である. 今期は,説明対話の収集・分析,話し言葉による談話の特徴分析,それに基づく発話生成および説明構成法,発話交代のあり方,対話分析のためのツールの作成などについて研究を進めた.対話収集に関しては,PCソフト(エクセル)の使用法を被説明者の求めに応じて説明するという対話を約25対話収集した.分析に関しては,過去に収集した交通経路案内対話およびPCソフトの説明対話を対象に,対話を小さな談話構造に分割し,さらに小さな発話単位に分割し,対話行為を付与した.話し言葉による発話生成に関しては,交通経路案内の対話を対象に,格要素の順序,注視対象との関連などについて分析して知見を得,計画立案法による具体化を進めた.説明構成法に関しては,基盤化をベースに小さな談話構造を定義し,小さな談話構造を発話単位のパターンにより捉えるモデルの研究を進め,これによる対話解析を検討した.発話交代のあり方については,ポーズ長や発話長に着目した検討を行った.対話分析のためのツールに関しては,発話単位への分割,機械学習を利用した対話行為の分析などを行えるシステムを作成し,実際に利用して有効性を確認した.
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