Research Abstract |
本研究は,複数の物体が存在する自然画像において,細かい構造に無関係に大局的な領域を分割・抽出し,分割領域の関係性を理解・認識することにより情景理解を行うモデルとアルゴリズムを開発し,さらにそれを実行する集積システムを開発することを目的とする。今年度は主に,(1)大局的領域分割時に問題となるエッジの欠けに対して,それを補完する「主観的輪郭」を再現するためのアルゴリズムと回路化,(2)大局的領域分割を実行するアナログ・デジタル(AD)融合回路の改良,および(3)領域抽出を高速に実行するセルオートマトン型回路について研究を行った。 照明や背景の具合で画像の境界(エッジ)が途切れている場合に,人間は「主観的輪郭」生成を行って,エッジを補完していると考えられる。この機能を実現するために,与えられた起点から所定の方向に,適当な広がりを持って拡散していく画素並列動作型アルゴリズムを2種類考案した。一つはセルオートマトン型モデルで,状態更新を複数時刻前までの状態値に依存するモデルとすることで,任意の方向に拡散させることを可能にした。各画素の状態は2値なので,デジタル回路での実現が可能であり,HDLを用いて回路設計を行った。もう一方はアナログ的状態値を用いるもので,デジタル方式に比べて滑らかな輪郭を生成することができる。この方式を,我々が以前から研究しているAD融合方式を用いて,回路化した。 大局的領域分割を実行する抵抗ヒューズネットワーク回路については,共同研究者と共に特定領域研究「知的瞬時処理複合化集積システム」(平成12〜14年度)で,アナログ・デジタル(AD)融合方式を用いて開発を行ったが,今年度はパルス駆動方式により回路構成を改良すると共に,新たに考案したセルオートマトン型領域抽出回路を組み込んで,機能を向上させた回路を設計した。
|