2003 Fiscal Year Annual Research Report
大規模分子動力学法で探るバイオナノマシンの作動原理
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15300103
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北尾 彰朗 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (30252422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 恒 日本原子力研究所, 中性子利用研究センター, 研究員
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Keywords | 大規模分子動力学 / バイオナノマシン / 細菌べん毛 / サヌモネラ菌 / べん毛繊維 / 超らせん構造 / 構造遷移 / 回転力 |
Research Abstract |
生体内には蛋白質などの生体高分子が集合して機能を発揮する生体超分子が多数あるが、細菌べん毛は立体構造解析が進んでいる代表的な例である。サルモネラ菌などの細菌の運動はべん毛によって生み出される。推進力を生み出すスクリューにあたる部分は、一種類のタンパク質flagellinが重合した繊維であり、超らせん構造を形成している。細菌はべん毛の回転方向を反転微鏡によって繊維の立体構造が原子レベルで決定された。我々はこれらの立体構造情報に基づいて、大規模な分子動力学計算をおこない、回転力によって引き起こされる超らせん構造変化のメカニズム解明を目指している。今年度はスーパーコンピュータを用いることで低温電子顕微鏡構造解析によって決定された全原子の立体構造モデルを初期構造とし、flagellin 44量体からなるシステムの分子動力学シミュレーションをおこなった。これらのシステムの大きさは溶媒分子も含めるとそれぞれ200万原子・240万原子からなり、これまでの生体分子動力学では最大級の規模のものである。 このシミュレーションの狙いは単に大規模な計算をすることではなく、回転力を加えることによって実験では直接観ることのできない構造変化の過程をコンピュータ上で再現し、その詳細なメカニズムを明らかにすることである。今年度は実際に様々な強さの回転力を加えることにより超らせん構造の遷移をシミュレーションによって再現することに成功した。超らせん構造遷移を引き起こすために必要なトルクは実験値をよく再現することも確認できた。また、このシミュレーションにより、μmのレベルでおこる比較的マクロが現象がÅのレベルのどのような構造変化と関係しているかを明らかにすることができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Jun Funahashi, Yuji Sugita, Akio Kitao, Katsuhide Yutani: "How can free energy component analysis explain the difference in protein stability caused by amino acid substitutions? Effect of three hydrophobic mutations at the 56th residue on the stability of human lysozyme"Protein Science. 16. 665-671 (2003)
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[Publications] Yasumasa Joti, Akio Kitao, Nobuhiro Go: "Molecular simulation study to examine the possibility of detecting collective motion in protein by inelastic neutron scattering"Physica B. (in press).