2004 Fiscal Year Annual Research Report
大規模分子動力学法で探るバイオナノマシンの作動原理
Project/Area Number |
15300103
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北尾 彰朗 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (30252422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城地 保昌 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (30360415)
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Keywords | 大規模分子動力学 / バイオナノマシン / 細菌べん毛 / サルモネラ菌 / べん毛繊維 / 超らせん構造 / 構造遷移 / 回転力 |
Research Abstract |
本研究では、回転方向の変化によって引き起される細菌べん毛繊維の変化を分子動力学計算によって再現し、らせん構造の転移機構を明らかにすることを目指している。特に今年度は、べん毛繊維のらせん構造転移の過程において、原子レベルでどのような立体構造変化が起こっているかを分子動力学で観察し、明らかにすることに主眼を置いた研究を行った。 予定より早く、既に昨年度からD0ドメインを含めた電子顕微鏡像に基づく立体構造を用いた計算を開始している。平衡状態での計算はほぼ完了しているので、超らせん構造転移の過程を詳細に観察すること、特にノーマル型・セミコイル型を含めた構造変化のメカニズムに注目した。そのためにはまずノーマル型・セミコイル型のモデル構造を構築する必要がある。セミコイル型・カーリー型については前年度までにほぼ安定構造が得られているたが、今年度はノーマル型についても構造を構築することができた。これらの様々な超らせん構造を解析することで、立体構造上の特徴を明らかにした。具体的には下記の3種類の重要な分子間相互作用が超らせん構造を生み出すことを示した。(1)Permanent相互作用:どんな超らせん構造でも常に保たれており、べん毛繊維を安定に保っている。(2)Variable相互作用:超らせん構造変化に合わせて水素結合する相手を変化させる。(3)スイッチ相互作用:R型では相互作用せず、L型では相互作用する水素結合と塩橋。この結果は、様々な実験データやこれまでに得られる知見とよく一致していることも示せた。 これらの大規模分子シミュレーション全般は、これまでに引き続き日本原子力研究所のITBL並列計算機を主に利用することで可能となった。
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Research Products
(4 results)