2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウス嗅球の新生介在神経細胞による神経回路形成の分子機構の解析
Project/Area Number |
15300104
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 正洋 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60313102)
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Keywords | 嗅球 / 顆粒細胞 / 神経新生 / nestin / GFP |
Research Abstract |
我々が樹立したNestin-GFPマウス嗅球には2種類のGFP陽性神経細胞が存在する。GFP発現の弱いTypeW細胞は、嗅球内を移動中の未分化顆粒細胞である。GFP発現の強いtypeS細胞は、細胞分裂後1か月以上経過しているが、典型的な成熟顆粒細胞とは異なる形態をもつ顆粒細胞である。 1.既存の神経回路に新生神経細胞が組み込まれる機構の解析 胎生期のマウス嗅球より神経細胞を分離し、神経細胞の単離培養法による安定した神経回路網の作成を検討した。比較的高密度で神経細胞を培養すると、1ヶ月以上にわたって安定した神経回路が形成されることが分かった。 そこに、さらに新しく胎生期のマウス嗅球より分離した神経細胞を加えて共培養すると、その未分細胞は既存の神経回路のなかに組み込まれ、新しいネットワークを作り得ることが分かった。現在、未分化顆粒細胞であるGFP陽性typeW細胞をcell sorterで回収し、それを既存の培養神経細胞神経回路に加え、既存の神経回路に組み込まれる間の形態変化、分子発現、機能変化を解析する系の確立を行っている。 2.typeS細胞の解析 前年度に、typeS細胞にガラスピペットで蛍光色素を注入する系を用いて、その樹状突起の先端が、嗅球の投射ニューロンである僧帽細胞の細胞体に接着していることを見出した。本年度は、typeS細胞の樹状突起の主幹部に数多く見られるスパインの形態を詳細に観察した。通常の顆粒細胞と異なり、細いスパインの割合は少なく、かわりに大きな丸い成熟したスパインが多く観察された。樹状突起主幹部のスパインには、大脳皮質や脳幹部からの求心性神経軸索が投射しているが、スパインの形態的特性から、typeS細胞は通常の顆粒細胞とは異なる求心性神経軸索の投射様式を有していることが示唆された。現在その求心性入力の性質を検討している。
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Research Products
(4 results)