2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15300107
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 亘彦 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (00191429)
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Keywords | 大脳皮質 / 層特異性 / 転写調節因子 / 遺伝子発現 / カドヘリン / 軸索誘導 / 細胞移動 / 細胞分化 |
Research Abstract |
大脳皮質は特有の細胞構築を持ち、神経回路はこの層構造に基づいて形成される。本研究では、この層特異的な回路形成を担う分子機構を明らかにすることを目指し、層特異的に発現する分子を同定しその機能的意義を解析することを目指した。これまでに層特異的な遺伝子探索を行うための方法として、(1)サブトラクションcDNAライブラリーからの探索による解析と(2)モノクローナル抗体法を用いる探索法を並行して進めてきた。その結果、次のような成果を得た。 (1)遺伝子探索の結果、転写調節因子ER81が5層神経細胞に特異的に発現することが判明した。ER81の役割を調べるために、逆行性標識法と免疫組織化学的手法を組み合わせて投射パターンとの相関を調べたところ、上丘や脊髄へ投射しているニューロンはすべてER81を発現するのに対して、皮質対側へ投射しているニューロンの一部がER81を発現することがわかった。また、ER81の5層細胞での特異的な発現様式が系統発生学的な観点から保存されたものである可能性を検討するために、マカクザルにおいてmRNAの発現を調べたところ、サルにおいても5層での局在性が見出された。以上のことから、ER81は種を越えて哺乳類大脳皮質において一部の5層細胞に発現し、細胞分化に関与していることが示唆された。 (2)モノクローナル抗体法によるスクリーニングによって、皮質深層の細胞がT-cadherinを特異的に発現することを示したが、さらにその機能的な役割を調べるために、RNAi法により内在的なT-cadの発現を抑制する、あるいは本来発現しない表層細胞への過剰発現による効果を調べた。その結果、T-cadが皮質細胞の細胞移動に関わること、並びに下位の神経核への投射誘導を適切に制御するのに貢献していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)