2004 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム・発生・行動を統合するゼブラフィッシュ巨大脳細胞の遺伝学
Project/Area Number |
15300117
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
八田 公平 独立行政法人理化学研究所, ボディプラン研究グループ, 研究員 (40183909)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / マウスナー細胞 / 形態形成 / Kaede / 軸索ガイダンス / ネットワーク / 同定可能な神経細胞 / 生長円錐 |
Research Abstract |
ゼブラフィッシュの脳において、比較的初期に発生してくる神経細胞群、特に、後脳・前脳の交連神経、縦走神経)で、蛍光色素を発現させ、レーザー顕微鏡をもちいたイメージングにより、これらの神経細胞の軸索ガイダンス過程、生長円錐の挙動、神経ネットワークの形成過程を詳細に調べることができた。神経細胞の多くは、その発生過程において、他の神経細胞やガイダンスポストとなる多種の細胞(グリア、フロアプレート、筋肉前駆細胞など)と一時的に接触したり、神経束を作ったり、シナプスを形成したりする。しかし、これらの細胞が、同じ蛍光色であると、それぞれを区別して観察することが難しい。私たちは、UVを照射することによって、蛍光色が、緑色から、赤に変化するヒユサンゴの蛍光タンパク質Kaedeをin vivoで神経細胞や、その他の組織細胞集団で発現させた。それらは、最初、緑色の蛍光を発現しているが、そのうちの一つの細胞を選び、細胞体にUVや紫色光レーザーを照射することにより、赤く転換できた。赤い蛍光分子は、細胞質の中で、自由に拡散するため、軸索や、樹状突起、生長円錐のフィロポティアなどを、細胞により、数分から数十分で可視化できた。さらに、そのまま、数日間生かしたまま、その神経細胞の形態変化と、それとシナプスを作っている隣の神経細胞との形態的関係を追うことができた。現在、技術的な改良を進めており、さらに感度よく、神経ネットワークの変遷をin vivoで追うことができるようになることを目指している。 また、魚類の後脳第4節に存在する巨大で同定可能な神経細胞マウスナー細胞において、発現するいくつかの遺伝子について、それらの機能解析をおこなっている。
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