2003 Fiscal Year Annual Research Report
コリン作動性ニューロン特異的遺伝子発現・ノックアウトシステムの確立
Project/Area Number |
15300129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
三澤 日出巳 財団法人東京都医学研究機構, 主任研究員 (80219617)
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Keywords | コリン作動性ニューロン / 運動ニューロン / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / 遺伝子改変 / Cre / アセチルコリン / トランスポーター |
Research Abstract |
コリン作動性ニューロンで特異的に発現するコリンアセチル転移酵素(ChAT)とシナプス小胞アセチルコリントランスポーター(VAChT)は同一の遺伝子座(cholinergic gene locus ; CGL)にコードされている。ヒトCGLの遺伝子断片11.3kbを取り出し、VAChTの翻訳領域にP1 bacteriophage Cre recombinase(Cre)を挿入したコンストラクトを作製した。受精卵へのマイクロインジェクションにより12匹のトランスジェニックマウス(VAChT-Creマウス)を得た。Creによる組み換え後にLacZが発現するレポーターマウスと掛け合わせて機能検定を行ったところ、全般的にはコリン作動性ニューロンにLacZ発現の選択性はみられるものの、トランスジーンのゲノム挿入部位およびcopy numberの影響と考えられるラインごとでの発現パターンの差異が認められた。このうち、複数のラインで、脳幹と脊髄の運動ニューロンおよび内側手綱核のみにLacZの発現が限局し、前脳部のコリン作動性ニューロンをはじめ、他の脳部位での発現はほとんどみられなかった。脳幹の運動核では体性運動核(somatomotor nuclei;動眼神経核、顔面神経核など多数)に発現がみられるのに対し、内臓性運動核(visceromotor nucleus;迷走神経背側核)では発現がみられなかった。上記のCreによる組み換えは胎生マウスでは検出されず、出生後に開始し、成長に伴い運動核の約半数のニューロンに達した。さらに、生後5週齢でのCreの発現頻度が最大および最小の代表的2つのラインを選択して詳細な解析をおこなったところ、この2つのラインではCre発現のonsetに差異があるものの、最終的な発現細胞の頻度(運動ニューロンのほぼ半数)には差異がなかった。すなわち、出生後に数週間で最大レベルに達するライン(VAChT-Cre.Fast)と、数ヶ月をかけてゆっくりと最大レベルに達するライン(VAChT-Cre.Slow)の2つのラインが確立できた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Misawa H., et al.: "VAChT-Cre.Fast and VAChT-Cre.Slow : Postnatal expression of Cre recombinase in somatomotor neurons with different onset."genesis. 37. 44-50 (2003)
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[Publications] Inoue H., et al.: "The crucial role of caspase-9 in the disease progression of transgenic ALS mouse model."EMBO J.. 22. 6665-6674 (2003)
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[Publications] Nagao M., et al.: "Hyperproliferation of synapses on the spinal motor neurons of Duchenne muscular dystrophy and myotonic dystrophy."Acta.Neuropathol.. 106. 557-560 (2003)