2004 Fiscal Year Annual Research Report
コリン作動性ニューロン特異的遺伝子発現・ノックアウトシステムの確立
Project/Area Number |
15300129
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
三澤 日出巳 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主任研究員 (80219617)
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Keywords | コリン作動性ニューロン / 運動ニューロン / 活性酸素 / ミトコンドリア / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / 神経変性 / Cre |
Research Abstract |
ミトコンドリアの機能障害や形態異常は多くの神経変性疾患で指摘されてきたが、近年「神経変性に至る共通経路」の1つとして注目を集めている。本研究課題にて昨年度に開発した生後の運動ニューロン特異的にCreを発現するマウス(VAChT-Creマウス)と、ミトコンドリアの活性酸素の除去機構として重要なMnSOD(SOD2)floxedマウス(都老人研、白澤博士より提供)を掛け合わせて、運動ニューロン特異的に同酵素を欠損するマウスを作製した。以前から、ALSを含む様々な神経変性疾患や老化過程でのMnSODの動態(および活性酸素の処理の異常)に注目が集まっているが、MnSODを全身で欠失するマウスは胎生期または出生直後に拡張性心筋症にて死亡するため、成体における働きは解析できなかった。生後の運動ニューロンの約半分で遺伝子の組み換えを誘導するVAChT-Creマウスとの掛け合わせは、成熟した運動ニューロンにおけるミトコンドリア由来の活性酸素の影響を解析する理想的なモデルと考えられる。このマウスを用いて、(1)MnSODの欠損のみで運動ニューロンのcell autonomousな変性を惹起するのか、(2)運動ニューロンのミトコンドリアの酸化ストレス障害が、グルタミン酸毒性、小胞体ストレスや軸索障害の感受性にどのような変化をもたらすのか、(3)家族性ALSモデルマウスで高頻度に見られるミトコンドリアの空胞化と同様な現象が観察されるのか、などについて解析をおこなっている。出生マウスの遺伝子型の解析では、予想される数のConditional KOマウスが確認されている。これらのConditional KOマウスでは出生時から生後10ヶ月までの間に顕著な異常(運動失調や麻痺)は観察されていない。現在、細胞レベルで神経変性の兆候が見られるのか、また各種抗体による染色性が変化するのか等について解析をおこなっている。
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Research Products
(5 results)