2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトてんかんと同じ遺伝子異常を持つモデル動物の作成とその神経薬理学的病態解明II
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15300146
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
満留 昭久 福岡大学, 医学部, 教授 (30038749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 伸一 福岡大学, 医学部, 助教授 (60248515)
荒木 喜美 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (90211705)
兼子 直 弘前大学, 医学部, 教授 (40106852)
岡田 元宏 弘前大学, 医学部, 講師 (10281916)
鈴木 登志郎 日本エスエルシー(株), 受託試験部, 課長
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Keywords | てんかん / モデル動物 / ラット / 遺伝子 |
Research Abstract |
ノックインマウス作出 変異lox、71と2272にCre酵素を使用すると、変異loxで挟まれた領域を自由に置換できた。このシステムを使うため、まずKCNQ2,3遺伝子に変異loxを導入した。これを一旦、neomycineで選択維持した。その後、ヒトで同定された変異数種類をCre酵素にて置換し、puromycineにて選択した。現在可変型ノックインマウスの作出を熊本大学で実施中。 作出動物の電気生理学的・神経薬理学的検証 ヒトてんかんの常染色体優性夜間前頭葉てんかん(ADNFLE)で見いだされたニューロンニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)α4サブユニット遺伝子(CHRNA4)Ser284Leu変異の相同異常をラットChrna4に導入し、遺伝子組換えラット作成を試みた。ADNFLEは常染色体優性遺伝形式をとる部分てんかんで睡眠中のけいれんを特徴とする。その原因としてnAChRの異常が同定されている。Ser284Leuの相同変異を導入したラットChrna4のcDNAを皮質・海馬発現用PFGFプロモーターを持つベクターに移入した後、定法どおりラット受精卵に顕微注入して、仮親の卵管内に移植し組換体を作出した。これにより遺伝子組換えラットを2系統得た。いずれの系統の組換体も、睡眠中の脳波で発作波がみとめられ、けいれんをきたす。しかしながら、筋力、協調運動,自発運動量、痛み感受性は組換体と同胞非組換体の間で差異は認められなかった。さらに、ペンテトラゾール誘発けいれんも、発現までの潜時、さらにけいれんの持続時間に組換体と同胞非組換体の間で変化はなかった。ただし、同胞非組換体に比べ組換体でのニコチン腹腔内投与による誘発けいれんは有意に抑制された。この所見はSer284Leu変異を有するnAChRで得られる、in vitroでの"loss of function"の電気生理学的特性と一致すると考えられた。以上から作出された組換えラットの特徴はこの変異の由来となったヒトADNFLEと酷似しており、ヒトてんかんモデルになりうると考えられた。今後、このモデル動物を利用した、てんかんの新しい治療法の開発が期待される。
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Research Products
(3 results)