2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトてんかんと同じ遺伝子異常を持つモデル動物の作成とその神経薬理学的病態解明II
Project/Area Number |
15300146
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
満留 昭久 福岡大学, 医学部, 教授 (30038749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 伸一 福岡大学, 医学部, 助教授 (60248515)
弟子丸 正伸 福岡大学, 理学部, 助手 (70309889)
荒木 喜美 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (90211705)
兼子 直 弘前大学, 医学部, 教授 (40106852)
岡田 元宏 弘前大学, 医学部, 講師 (10281916)
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Keywords | モデル動物 / 遺伝子改変動物 / てんかん / チャネル / チャネロパチー / 遺伝子組換え / 睡眠 / 神経伝達物質 |
Research Abstract |
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)のα4サブユニット遺伝子(Chrna4)に異常を持つ遺伝子組換えモデル動物(S284L-Tg)の作出に成功した。導入した変異はミスセンス変異S284Lで、常染色体優性夜間前頭葉てんかん(ADNFLE)の日本人家系から同定された。脳波およびビデオの同時モニタリングでS284L-TgがヒトADNFLEと同様に睡眠中に前頭葉を焦点とする自発けいれんを示すことを確認した。S284L-Tgの発作はヒトADNFLEに特徴的な3種類の発作、nocturnal paroxysmal dystonia、nocturnal paroxysmal arousal、epileptic wanderingに酷似していた。各種スクリーニングテストによるS284L-Tgとwild-typeの比較では有意な差は認められなかった。自発性痙攣を有するにも拘わらず、GABA受容体阻害薬ペチレンテトラゾール(PTZ)誘発試験に対する感受性もS284L-Tgとwild-typeで有意な差はなかった。神経伝達物質遊離を検証したところ、覚醒から睡眠に移行する段階でのGABA遊離の変異は認めなかったが、グルタミン酸の遊離はS284L-Tgで相対的機能亢進を認めた。前頭葉スライスパッチクランプを用いた解析では、S284L-Tgはグルタミン酸系には影響せず、GABA系伝達機能への亢進効果が欠如していた。この機能欠損はシナップスを介した伝達だけではなくシナップス外伝達にも及んでいた。覚醒から睡眠への移行段階での相対的グルタミン酸伝達機能の亢進が、特徴的な睡眠中発作の発現機序の一端をなすと考えられた。我々が作出したS284L-Tgは世界初のヒトてんかんモデルラットと考えられた。今後のてんかんの病態解明や新規の治療法開発に貢献するものと思われる。
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Research Products
(3 results)