2004 Fiscal Year Annual Research Report
微小循環酸素検知機構の解明とそれに基づくin vivo血流制御実験モデルの開発
Project/Area Number |
15300156
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 政廣 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60158954)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 瞭 日本大学, 大学院・グローバルビジネス研究科, 教授 (50014072)
|
Keywords | 酸素 / 細動脈 / 毛細血管 / 物質交換 / 生体顕微鏡 / 骨格筋 |
Research Abstract |
骨格筋毛細血管血流は組織の酸素分圧に強く依存することはよく知られている。酸素は毛細血管から組織内の代謝率に比例して消費されつつ拡散により供給される。そのため組織での酸素需要が高い場合(運動時等)には毛細血管血流量は多く、一方、酸素需要が低い場合(安静時)では少なくなる。また、安静時の開存毛細血管数(functional capillary density)に関しても、常に全ての毛細血管に血流が存在することはなく、灌流・停止を繰り返している。本研究ではこの酸素分圧を介した骨格筋毛細血管血流調節における酸素感知機構の存在を明らかにした。 骨格筋組織酸素分圧の調節は、筋周囲の灌流液の酸素分圧を変えることにより任意のレベルに保った。微小循環動態は生体顕微鏡下に毛細血管血流速度と開存毛細血管数を測定し、両者から骨格筋毛細血管血流量の相対的変化を求めた。組織(灌流液)酸素分圧の上昇に伴い毛細血管血流は減少するが、その減少の割合は直線的ではなく約40mmHgに変極点を持つS字カーブを示した。このことは、酸素分圧を介した骨格筋毛細血管血流の調節は線形ではなく、特定の酸素分圧を閾値に持つON-OFF制御機構である可能性が示唆される。 つぎにこのON-OFF制御のための酸素分圧を骨格筋微小循環系においてはどこで感知しているかを検討した。酸素感受性色素Pdポルフィリンのリン光寿命法により種々のレベルの細動脈内外の酸素分圧を計測した。その結果、細動脈内酸素分圧は分岐を重ねるに従い低下し、毛細血管血流制御の変極点である酸素分圧40mmHgは、3rd order細動脈内(47mmHg)と細動脈周囲組織(29mmHg)の間に位置した。以上の結果より、骨格筋毛細血管血流を調節するための酸素感知機構は、毛細血管直前の3rd order細動脈壁に存在するのではないかと考えられる。
|