2005 Fiscal Year Annual Research Report
新開発O_2^-発生デバイスを用いた酸化ストレス研究の新しいストラテジー
Project/Area Number |
15300164
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田村 実 愛媛大学, 工学部, 助教授 (00128349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 恵 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (60157427)
中村 洋一 大阪府立大学, 生命環境科学部, 教授 (90180413)
六反 一仁 徳島大学, 医学部, 教授 (10230898)
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Keywords | スーパーオキシド / 活性酸素 / NADPH oxidase / シトクロム b_<558> / 融合タンパク質 / 酸化ストレス / 細胞培養 / 分子デバイス |
Research Abstract |
1.デバイスによる細胞死の詳しい検討 前年度の研究で,デバイスによる活性酸素発生がHEK293細胞や神経細胞に細胞死を引き起こすことを見い出したが,実際に効いている活性酸素種が何であるかは明らかでなかった.そこで今年はその点について明らかにするため,とくにHEK293細胞についてcatalase, SODなどの活性酸素消去剤を用いて詳細に検討し,実際に作用している活性酸素はH_2O_2であることを見い出した. 2.デバイスのさらなる改良 先に開発したデバイスは非常に活性が高く,安定性もよく,使い勝手もよかったが,ただひとつの欠点は細胞培養に用いる培地中(たとえばMEM)での安定性が低いことであった。そこで、この問題を解決するために、デバイスとして用いる酵素を予めタンパク架橋剤で固定化することを試みた.以前酵素安定化で有効であった水溶性カルボジイミドEDCで架橋してみたが,酵素が濃すぎたせいか,酵素の活性自体が落ちてしまった.そこで酵素溶液をある程度薄めてから架橋したところ,安定性は多少改善されたが,なお充分とはいえなかった.そこで最後の手段として,この架橋反応の反応促進剤である水溶性スクシイミドsulfo-NHSを架橋剤と同時に加え,穏やかな条件下で反応させてみた.すると安定性は著しく向上し,培地(ここではMEM)中37℃で,半減期3.3時間,そして5時間後もなお40%以上の活性を有する酵素を得ることに成功した.これは培地中の酵素の安定性としてはこれまでで最高のものである.そこでこの方法でデバイスを作成し"デバイス改良型"と命名した. 3.再び酸化ストレス実験への応用 この新規改良型デバイスを今回はヒト前骨髄球由来の培養細胞HL60細胞に加え,電子供与体としてNADPHを加えて細胞へのO_2^-の影響を調べた。培養液に新デバイスを加えて培養したところ,コントロールに比べて明らかに細胞死が促進され,22時間後生きた細胞数は30%程度まで減少したまたデバイスだけでNADPHを加えない場合にはこれらの現象が見られなかった.O_2^-をH_2O_2へ変換する酵素SODを共存させた時には効果はあまり変わらなかったが,H_2O_2を水へと変換させる酵素catalaseを共存させた場合には細胞死は殆ど抑えられた.したがって,この場合も実際に作用している活性酸素種は,主にH_2O_2であることが明らかになった.
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Research Products
(4 results)