2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内シグナル応答型薬物および遺伝子送達システムの開発と新規薬物送達概念の創製
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15300166
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片山 佳樹 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70284528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新留 琢郎 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (20264210)
村田 正治 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (30304744)
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Keywords | 遺伝子送達 / 薬物送達 / 細胞内情報伝達系 / 遺伝子治療 / プロテインキナーゼ / アポトーシス / プロテアーゼ / ターゲティング |
Research Abstract |
全年度開発したプロテインキナーゼA(PKA)応答型キャリヤーを用いて、高分子主鎖の疎水性やPEGの導入などの検討を行ない、非常に安定かつ粒子径の小さな遺伝子とのナノ複合体を形成可能なキャリヤーの開発に成功した。また、細胞内での遺伝子発現制御が、確かにPKAによるものであることを確かめるために、細胞を各種薬物で刺激し、PKAで活性化するCREプロモータを組み込んだ遺伝子を別途細胞に導入した系を用いることで、細胞内PKA活性と本キャリヤーでの遺伝子発現制御の相関を検討した。その結果、確かに本システムが細胞内で活性化されたPKAにより遺伝子発現を制御していることが証明された。 また、プロテアーゼ応答型キャリヤーとして、あらたにHIVプロテアーゼ応答型キャリヤーを開発した。この場合、基質ペプチドと主鎖を連結するリンカー部位の構造にフレキシブルなトリエチレングリコール鎖を組み込むとよい応答を示すことを見出し、まず、ゲル電気泳動、無細胞発現系で,実際にHIVプロテアーゼに応答した遺伝子発現制御が転写レベルで可能であることを確かめた。さらに、本システムをHIV感染細胞に適用し、ウイルス感染細胞特異的な遺伝子発現を実現することに成功した。 さらに循環器系疾患への応用を目指し、Rhoキナーゼ応答型キャリヤー開発のための基質ペプチドの設計を試み、実際にRhoキナーゼ特異的にリン酸化される、優れた基質の設計に成功した。また、循環器疾患への遺伝子治療の適用のために、血管疾患部位を診断・評価できるシステムが必要になり、新たに、血管傷害部位を特異的に検出できる新しい造影剤の開発に成功し、実際にラットの内皮傷害部位を検出することに成功した。
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