2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15300198
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
原 和子 名古屋大学, 医学部, 助教授 (90180992)
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Keywords | 介助犬 / 作業療法 / 適性評価 / 三次元動作分析 / 作業遂行 / リハビリテーション / 身体障害者補助犬 / ガイドライン |
Research Abstract |
研究初年度である平成15年度では、まず介助犬の作業療法評価と介入に用いるべき項目を実態調査等から抽出し、作業療法基準のためのガイドラインを作成した。次に客観的適正評価として三次元動作分析装置を用いて歩行と起き上がり動作を検討した。 1.介助犬のための作業療法ガイドライン作成 (1)介助犬との協業を支援する手順として、介助犬希望者や使用者の作業遂行に関する情報収集、作業遂行障害と能力の確認、作業遂行における介助犬の有効性及び問題点の確認、作業療法介入があげられる。 (2)評価として、環境、社会参加、活動、心身機能・構造の5カテゴリーに分類した。さらに環境は物理的、経済的、社会文化的、制度的環境に分けた。社会参加は雇用、スポーツとレジャー、教育、保健医療に分けた。活動は、介助犬に関する意志(個人的ニードとその重要度、遂行度、満足度、興味、価値観、個人的原因帰属観など)、作業遂行技能(運動技能、処理技能、伝達・交流技能)、作業遂行の満足度、作業内容の社会的正当性、日常生活動作、習慣と役割に分けた。心身機能・構造は全身所見、意識レベル・高次脳機能評価・言語機能、関節・骨・筋、反射、感覚、呼吸循環機能・内蔵器官・脳神経機能に分けた。 (3)目標の設定として、姿勢保持・変換、移乗、持ち上げて運ぶ、手の巧緻動作、リーチ動作、歩行、車いす駆動、更衣動作、買い物、駐車場の利用、水分補給、緊急連絡、室内環境制御をあげ、介助犬による補完動作課題とのマッチング表を制作した。 (4)ハンドリング習得段階での介入基準を使用者の障害にあわせて作成した。これにより、事前評価の見直し、訓練目標の段階付け、医療の立場からの訓練計画への介入概念が明確になった。 (5)フォローアップの必要な場合を提示し、その介入方法について言及した。 2.三次元動作分析装置による介助犬との協業動作の有効性評価 歩行バランスの評価では、多発性硬化症例(女性)と介助犬の歩行、脊髄損傷者の起き上がり動作について検討した。三次元動作分析装置で問題となるのは、マーカーの位置であり、関節運動軸に近いほど正確に運動軌跡をとらえることができるが、実際は身体の外に付けざるを得ない。そのために運動軸を想定して補正する作業が必要になる。これらの知見について神奈川県総合リハビリテーションセンター研究部で実際にデーターを取りながら研修した。三次元動作分析装置をもちいた評価から、介助犬との歩行パターンが、独歩や杖歩行に比べて、遊脚期及び立脚期共に介助犬が関与し安定に寄与していることが判明した。起き上がり動作については運動範囲の軽減を認めた。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 原 和子: "作業課題の変化に及ぼす介助犬の影響と作業療法"作業行動研究. 7巻・1号. 60-66 (2003)
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[Publications] 窪田高志, 高柳友子, 原 和子: "介助犬育成における作業療法の役割"作業療法. 22巻特別号. 639 (2003)
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[Publications] 高柳泰世, 高柳友子, 宮尾 克, 原 和子: "身体障害者補助犬法成立後の盲導犬使用者に対するアンケート調査"日本公衆衛生雑誌. 50巻・10号. 499 (2003)
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[Publications] 高柳友子, 原 和子, 宮尾 克, 高柳泰世: "身体障害者補助犬法施行後の介助犬使用者実態調査"日本公衆衛生雑誌. 50巻・10号. 499 (2003)
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[Publications] 原 和子, 山崎恵子, 水上 言, 高柳泰世, 河西 光: "補助犬と作業療法"東海北陸作業療法士学会誌. 通号3号. 37-39 (2003)
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[Publications] 野口裕美, 原 和子, 国見ゆみ子, 安藤徳彦: "介助犬希望者に対する事前適正評価 -歩行バランスの動作分析から-"介助犬の適応障害と導入及び効率的育成に関する調査研究. 厚労科学研究報告書. 34-40 (2003)
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[Publications] 原 和子, 村井敦士, 野口裕美, 加藤清子: "脊髄損傷者の介助犬による起き上がり動作の有効性"介助犬の適応障害と導入及び効率的育成に関する調査研究. 厚労科学研究報告書. 41-51 (2003)
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[Publications] 小菅啓司, 原 和子: "介助犬の主人としての役割観が障害者に与える精神的影響について"介助犬の適応障害と導入及び効率的育成に関する調査研究. 厚労科学研究報告書. 69-85 (2003)
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[Publications] 野口裕美, 原 和子, 国見ゆみ子, 安藤徳彦: "介助犬希望者に対する事前適正評価 -歩行バランスの動作分析から-"第14回三重県理学療法学会誌. 通算14号. 31-32 (2003)
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[Publications] 原 和子: "介助犬訓練者研修会資料「介助犬と作業療法」"国立身体障害者リハビリテーションセンター. 102 (2003)
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[Publications] 原 和子: "介助犬訓練における医療従事者との連携"アシスタントドッグ育成普及委員会(予定). 56 (2004)
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[Publications] 野口 裕美: "介助犬と理学療法"国立身体障害者リハビリテーションセンター. 102 (2003)