2003 Fiscal Year Annual Research Report
LT強度の運動が心身の健康によい理由を明らかにする
Project/Area Number |
15300219
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
跡見 順子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90125972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八田 秀雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60208535)
長尾 恭光 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (80303874)
新井 秀明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60313160)
柳原 大 豊橋技術科学大学, 体育保健センター, 助教授 (90252725)
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Keywords | 乳酸性作業域値 / 有酸素性運動 / カテコールアミン / ドーパミン / ノルエピネフェリン / セロトニン / モノアミン / 脳の可塑性 |
Research Abstract |
脳神経系はさまざまな環境因子により調節を受けるが、このような環境因子のひとつとして運動があげられる。運動時の活動筋内では筋収縮のためのATP合成が解糖系およびTCA回路により行われる。安静時および低強度の運動時には解糖およびTCA回路によるエネルギー合成でも必要量が合成できるが、より高い強度の運動時には解糖によるエネルギー合成に強く依存するようになる。このように非常時でのエネルギー合成が糖に強く依存するようになると、血糖値の上昇などのためのホルモン調節などの全身的な変化をともなう。これはHPA軸の活性化や交感神経および副腎髄質によるストレス応答をともなうことがわかっている。すなわち、運動刺激には脳神経系の応答から見ても強度の閾値が存在する。この閾値は、実験的には血中乳酸濃度の閾値として測定できるのでLT (lactatethreshold)とよばれる。本研究ではこの運動強度の閾値を考慮にいれた上で、脳神経系の発達や可塑性に大きな役割を持つ脳内アミンの運動による制御を検討した。 C57BL/6Jマウスをトレッドミルにより、LT以上の走運動(25m/min)、LT以下の走運動(15m/min)を30分間行わせ直後に脳を部位別にサンプリングした。また、コントロールとしてトレッドミルに入れただけの群およびホームケージ群もサンプリングした。脳は、海馬、視床下部、小脳、橋/延髄、皮質前部、皮質中部、皮質後部に分けてサンプリングした。モノアミン濃度はHPLC-ECDにより測定した。 運動刺激は脳のさまざまな部位におけるモノアミン濃度の変化をもたらした。また、このような変化は運動強度に依存して、LT以上の運動とLT以下の運動で異なる動態を示した。たとえば、脳のいくつかの部位ではセロトニン代謝がLT以下の走運動で上昇したがLT以上の走運動ではこのような変化は見られなかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Arai, H.et al.: "Suppression of cofilin phosphorylation in insulin-stimulated ruffling membrane formation in KB cells."Cell Struct.Funct.. 28. 41-48 (2003)
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[Publications] Tanaka, M.et al.: "Proliferation and differentiation of Xenopus A6 cells under hypergravity as revealed by time-lapse imaging."In Vitro Cell.Dev.Biol.-Anim.. 39. 71-79 (2003)
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[Publications] Totsuka, Y.et al.: "Physical performance and soleus muscle fiber composition in wild-derived and laboratory inbred mouse strains."J.Appl.Physiol.. 95. 720-727 (2003)
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[Publications] Fujita, Y.et al.: "αB-crystallin-coated MAPs-microtubule resists nocodazole- and calcium-induced disassembly."J.Cell Sci.. 117. 1719-1726 (2004)
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[Publications] 大学体育養成学研究会 編: "からだの原点〜21世紀[養生学]事始め〜"市村出版. 176 (2003)
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[Publications] 鳥越成代 他: "からだの教育"市村出版. 165 (2004)