2004 Fiscal Year Annual Research Report
LT強度の運動が心身の健康によい理由を明らかにする
Project/Area Number |
15300219
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
跡見 順子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90125972)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 秀明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60313160)
長尾 泰光 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (80303874)
八田 秀雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60208535)
柳原 大 豊橋技術科学大学, 体育保健センター, 助教授 (90252725)
|
Keywords | ストレスタンパク質 / セロトニン / 呼吸 / 脳内アミン / 前頭葉 |
Research Abstract |
1)LT走における脳内アミンの変化:LT強度での30分ほどの走運動は、有酸素能力を向上させるのみならず、脳の活性化などの効果がみられている。そこでB6マウスを対象にトレッドミル走によりLT前後での脳内アミンの脳内部位による変化を調査した結果,脳のいくつかの部位,とくに延髄-橋,及び大脳皮質(前頭部・後頭葉)ではセロトニン代謝がLT以下の走運動で上昇したが,LT以上の走運動ではこのような変化は見られなかった.海馬においてはトレッドミル内の安静値及び高強度のセロトニン濃度が上昇したが,ターンオーバーに関しては,LT以下の運動では低下が視られなかった.視床下部においては,このターンオーバーが有意に減少したことを考えると,低い運動強度での海馬における低下がなかったことの意味は大きい. 2)筋細胞及びグリア細胞におけるストレスタンパク質の発現及び関連するシグナル伝達:運動時に発現が充進する骨格筋及び脳のストレス(熱・浸透圧・pH・機械刺激・酸素ストレス等)に対するストレスタンパク質(hsp70,αB-crystallinを中心に解析)の応答を、筋細胞及びグリア細胞で解析した。マウスC2C12筋芽細胞、鶏初代筋細胞及びヒト骨格筋培養細胞で、主に熱ショックストレスへの応答を検討した結果、マイルドな熱ショックではαB-クリスタリン、HSP70の発現が高進し、かつ筋管細胞の幅が対照に比較して太かった。41度のような高温では筋管の太さは低下した。このときのシグナルカスケードを調べたところ、ERKのみがマイルド熱ショックに対してリン酸化が高進した。また運動時に脳の神経細胞新生が起こる原因となると報告されているグリア細胞への酸化ストレスに対するαB-crystallinの発現及びリン酸化について検討したとろ、αB-crystallinの発現はややグリア細胞のアポトーシスを抑制する傾向を示した。以上より、マイルドなストレスは、ストレスタンパク質の発現を誘導し、心身の健康に細胞を安定に活性化することが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)