2004 Fiscal Year Annual Research Report
農村家族の変容と中高年女性の情緒関係と老後意識の変化-23年間の追跡研究から-
Project/Area Number |
15300248
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Research Institution | Den-en Chofu University |
Principal Investigator |
佐藤 宏子 田園調布学園大学, 人間福祉学部, 教授 (60165818)
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Keywords | 追跡研究 / パネル調査 / 家族変動 / 中高年有配偶女性 / 農村家族 / 直系家族制 / 農村女性 / 縦断的研究 |
Research Abstract |
本研究は、農村直系制家族において伝統的に家族内地位がきわめて低く、経済力を持たなかった中高年有配偶女性が、どのように世代間関係や老後生活に関する意識を変化させているかを分析することによって、直系制家族の内部構造における微視的変化の一側面を明らかにすることを目的としている。本研究は静岡県志太郡岡部町朝比奈地域の茶栽培農家の中高年有配偶女性を23年間にわたって追跡調査したパネルスタディであり、研究方法としては1982年の第1回調査、93年の第2回調査、および2005年9月に実施する第3回調査を時系列的に比較分析し、考察する実証研究である。 本年度は、調査対象者の第1回調査と第2回調査の結果を整理、比較するととともに、2005年秋に実施する予定の第3回調査のための事前調査を対象地域において2回実施した。事前調査では岡部町役場の協力を得て、住民基本台帳から調査対象者の生存と居住地の確認、現在の家族人員数と家族構成などを明らかにし、SPSSによる集計分析を実施した。この結果、次の点が明らかになった。(1)第1回調査と第2回調査が完了している対象者324人のうち、住民登録から死亡または転居が確認された対象者は29人であり、23年間の追跡研究が可能な対象者は295人である。(2)調査対象者は、1982年当時から23歳加齢しており、2005年時点では53歳から81歳となっている。(3)平均家族人員数は1982年4.32人、93年4.78人、2005年4.28人と推移しており、依然として世帯規模は大きいが、1993年と2005年を比較すると、世帯規模が縮小した調査対象者世帯は48.5%とほぼ半数を占めており、世帯規模の拡大がみられた世帯は19.3%にとどまっている。(4)家族構成では、「本人夫婦と未婚の子」の核家族が23.1%(1982年)、22.7%(1993年)、23.4%(2005年)と安定推移している。しかし、「三世代家族」は67.1%→53.3%→42.6%と減少しているのに対して、「夫婦のみの世帯」が2.7%→9.2%→18.0%と著しい増加を示している。(5)未婚子が同居している調査対象者世帯は41.7%と4割を超えている。同居未婚子の最長年齢は20代が22.0%、30代が30.1%、40代が38.2%、50代が9.8%となっており、結婚難が進行していることがうかがわれる。今後は、本年度明らかになった分析結果をもとにして、2005年秋に実施する予定の第3回調査の調査票を検討、作成している。
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Research Products
(1 results)