2005 Fiscal Year Annual Research Report
農村家族の変容と中高年女性の情緒関係と老後意識の変化-23年間の追跡研究から-
Project/Area Number |
15300248
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Research Institution | Den-en Chofu University |
Principal Investigator |
佐藤 宏子 田園調布学園大学, 人間福祉学部, 教授 (60165818)
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Keywords | 追跡研究 / 家族変動 / 家族形態 / 農村家族 / 農村女性 / 情緒関係 / 老後意識 / 世代間関係 |
Research Abstract |
本研究は、1980年代から今日に至る約25年間の農村家族の家族形態、情緒関係、老後意識の変化を追跡研究することにより、農村直系制家族の形態的変化、世代間関係の変化を実証的に明らかにすることを目的としている。まず、本年度は、本研究の調査対象地域に選定した静岡県志太郡岡部町朝比奈地域の社会経済的変動を農家率、第2種兼業農家率、粗生産額、農業就業人口の年齢構成、人口の流動性、生活圏の拡大等の様々な角度から分析し、1980年から2005年までの約25年間は4つの時期に区分されることを明らかにした。すなわち、第1期は1980年代前半までの茶生産の隆盛期、第2期は1980年代後半の茶生産の停滞期、第3期は1990年代の茶生産の縮小期、そして2005年の茶生産の衰退期の4期である。次に、この4つの時期にこれまで実施した調査を位置づけた上で、1982年調査(調査対象者475人、有効対象者439人、回収率92.4%)、1993年調査(調査対象者403人、有効対象者324人、回収率80.4%)との時系列分析が可能な第3回目のパネル調査の調査票を作成した。第3回調査の調査票は、家族形態や世帯状況、世代間の居住形態や分離状況、情緒関係、生活満足度、老後意識などの従来からの質問項目に加えて、調査対象者のライフコース、介護の状況や福祉サービス利用状況を加えることによって、対象者の25年の加齢に伴う世代間関係、老後意識、生活状況等の変化や出生コーホートによるライフコースの差異を分析、考察できるように設計した。 第3回目のパネル調査は2005年9月8日から11日までの4日間、1993年の第2回調査の有効対象者249人のうち死亡22人、転居8人を除く294人に対して、調査員32人で実施した。2005年調査の有効対象者は253人、回収率は86.1%であった。調査できなかった41人の内訳は、病気療養中が15人、長期不在を含む不在が11人、調査拒否が15人であった。この結果、1982年、1993年、2005年の3時点における時系列比較が可能な分析対象者253人のデータを得ることができた。この分析対象者数253人は、1982年調査の対象者の53.3%、1993年調査の対象者の57.6%を占めている。調査終了後、調査票の精緻な確認・修正作業を経て、調査データをspss形式で入力した。さらに、1982年調査、1993年調査、2005年調査のデータを接合し、3時点のパネルデータファイルを作成した。現在は、2006年度の分析に向けて、データのエラーチェック、エラーの修正作業を進めている。
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