2006 Fiscal Year Annual Research Report
農村家族の変容と中高年女性の情緒関係と老後意識の変化-23年間の追跡研究から-
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15300248
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Research Institution | Den-en Chofu University |
Principal Investigator |
佐藤 宏子 田園調布学園大学, 人間福祉学部, 教授 (60165818)
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Keywords | 追跡研究 / 農村家族 / 世代間関係 / ライフコース / 情緒関係 / 老後意識 / 直系家族規範意識 / 生活満足度 |
Research Abstract |
本研究は玉露の生産地、静岡県志太郡岡部町朝比奈地域を調査対象地域として、1982年、1993年、2005年の3時点パネル調査を実施した。分析対象者は53〜82歳の253人、平均世帯人員数は5.28人→4.78人→4.26人、三世代世帯は67.9%→62.8%→49.0%と減少、夫婦のみ世帯は2.4%→9.9%→18.2%と増加している。1993年には兼業化が進展しているが、生活の共同性はきわめて高く、依然として直系制家族が維持されている。 世代間関係は、夫の親を「頼り」にし職業生活・家庭生活の全面的共同を基盤とする82年の「運命共同体的な世代間関係」から、93年の「相補的役割援助に基づく世代間関係」へと移行している。この背景には、家制度規範意識の衰退、既婚子夫婦の農外就労、農業経営の世代間分離、嫁の経済力の高まりがあり、家計を支える既婚子夫婦への親世代による活発な家事育児役割の援助と、既婚子夫婦の職業生活や生活状況に適合的な生活分離を特徴としている。調査対象者は、伝統的な生活文化や地域社会関係に愛着を感じ、「相補的役割援助に基づく世代間関係」を維持することによって、世代間の緊張や葛藤を緩和し、高い生活満足度を保持している。しかし、2005年には後継者の他出や結婚難がきわめて深刻化するとともに、親世代の加齢や介護問題が発生し「相補的役割援助に基づく世代間関係」は揺らいでいる。その結果、対象者の夫の親に対する「理解」や「頼り」の主観的認知は著しく低下し、生活満足度も他の2時点よりも低くなっている。この背景として、対象者自身が「家事・育児・介護は女性(嫁)の仕事」というジェンダー観を根強く保持しており、農作業または就業に加えて家事・育児・介護をひとりで背負っている事例が増加していること、近居・別居などの居住形態や生活分離を決定しているのは、土地、財産、農業経営に関する権限を保有している男性の意識や経済力であることなどが指摘できる。
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Research Products
(1 results)