2004 Fiscal Year Annual Research Report
リスクコミュニケションによる食物アレルギー患者の発症リスク軽減に関する研究
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15300251
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 知明 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (80359603)
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Keywords | 食物アレルギー / アナフィラキシー / 原因食品の形態 / 発症場所 / アレルギー表示 / 食品表示 / 食物抗原 |
Research Abstract |
目的;食物アレルギーの実態調査については、医療機関に来院した患者の原因物質等に関する調査は行われているが、患者側の行動に着目した実態調査や原因食品の販売形態や発症場所、発症時の対処方法に関する調査研究や、患者家族の食品の購買行動に着目した実態調査は充分には行われていない。そこで、これらの実態を明らかにするために、食物アレルギー患者の実態調査を行った。 方法;全国的な食物アレルギーの患者会の協力を得て、会員家族1510家族に対して、食物アレルギーの原因食品の形態やその発生場所、対応方法や、アレルギー表示の理解度等について、郵送による「食物アレルギー発症回避のためのアンケート調査」を実施した。 結果の概要;食物アレルギー患者がアナフィラキシーを発症した原因食品の販売形態では、「容器包装加工食品」が最も多く、ついで「店頭販売品」(78例、21.0%)、「レストラン(食堂)での食事」(24例(6.5%)となっている。さらに、発症場所と原因となった食品についてのクロス集計では、「自宅」での「容器包装加工食品」や「店頭販売品」による発生が最も多く、ついで、「レストラン(食堂)」での食事、「ファーストフード」の「店頭販売品」の順になっており、その原因となった食品も異なる。今後、これらの販売形態の食品や、場所においても、何らかのアレルギーに関する情報提供が必要と考えられる。 患者家族の食品の購入先は、「生協」「スーパー」、「自然食品店」の順である。99%の家族では、食品購入時に表示を確認している。「可能性表示」がなされた場合には、原材料に含まれているものと解釈され、購入を回避する可能性があると推察された。 患者家族は、表示内容からその商品中に含まれる食物抗原量を推定し、商品を選択しているが、その情報提供の機会や内容は十分ではないと考えており、今後、インターネットの活用など、表示以外の方法を用いて、より詳細な原材料等の情報提供を必要としている。
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