Research Abstract |
本年度は,アクションリサーチによる,教師の問題確定過程を対象に,授業の実際に参画し,オン・ゴーイング認知法,授業リフレクション法,自己リフレクション法,メンタリング法などを駆使し,実証的研究を推進した。 対象は,教育実習生と,現職教員,及び新採用教員である。教育実習生は,実習前の段階でマイクロティーチングを行い,指導案作成と模擬授業を行い,この過程でメンターが対話者をすすめ,実習前の課題を明らかにした。そこでは教師主導型の授業イメージであることが問題として明らかにされた。一次実習で,この課題をテーマに,メンターが参与観察し,授業後リフレクションを繰り返すことで,実習前の課題がかなり解決されていることがわかった。一次実習の後,授業記録やメンタリング,リフレクションを文字化し,実習生はそれをもとに,詳細なリフレクションをメンターと共に行い,二次実習に向けての課題整理を行った。こうして,教育実習を通して,実習生のもつ実践的力量の形成過程をメンタリングを介して明らかにした。 現職の教師は,一年間をかけて,オン・ゴーイング,リフレクション,により自分の授業,他教師の授業,学生の授業を対象化し,そこに投影される自分の課題を,多面的に抽出した。これは,自己の授業からだけでは見えない,他者の授業を通して,そこにうつる自己の課題をみることにより,教師の授業実践上の課題を把握する方法論としても意義ある成果を得ることができた。 さらに,新卒者の授業を学期ごとに追跡することを通して,学校が配置している新任教員の指導教員の指導を,実際の授業と共に追うことができた。そこでの研修方式は,一つは,注入型の指導であるが,やがて,共存的関係も見られるようになり,こうした指導教員がメンターとしてどのような意味を持つのかについて,データーを得た。
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