2005 Fiscal Year Annual Research Report
パラメトリックアレー収束音場音源による高機能遠隔教育・会議システムの開発
Project/Area Number |
15300275
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
米澤 義道 信州大学, 工学部, 教授 (90020982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 一典 信州大学, 工学部, 教授 (30043045)
橋本 昌巳 信州大学, 工学部, 助教授 (20242670)
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Keywords | 遠隔教育 / 遠隔会議 / パラメトリックアレー / 指向性音場 / スピーカ |
Research Abstract |
本研究は、最近のシステムである遠隔教育、遠隔会議システムにおいて、指向性音場が必要であることから始まったものである。このような可聴音による指向性を実現するためには、スピーカアレーが考えられるがその寸法は音波の波長から数メートルにおよび実用性がない。しかし1960年代に発見されたパラメトリックアレー効果を用いれば実現する可能性が在るとあされてきた。しかし、この効果は普通のスピーカに比べて電気-音響変換効率が低く工夫が必要であった。我々は、この効果を収束することで所望の音圧を得ることに成功していたのでこれを用いることにした。平成15年度から始まった過年度の本研究において、一応その目的を果たす装置が完成し、試作音源が遠隔会議、遠隔教育受講に適していることを、聴取実験で確認した。 平成17年度は、この中で発生している、(1)限定方向指向性音源によって発生する聴取者頭部による聴取音散乱音の削減、(2)指向性音源の可聴域、非可聴域の境界の急峻度の改善、(3)可聴域と周囲音圧とのレベル差の改善、などについて検討し、より実現性の高い指向性音場の実現に努力した。 その結果、<1>聴取者の頭部による散乱の削減は原理的に難しいので音源の投射方向を工夫することとした。投射方向を変えてみると、垂直上部よりの投射で一番散乱音の効果が少ない結果が得られた。<2>切れの良いビーム音波とも呼ぶべき指向性音源である、音を供給すべきエリアと供給したくないエリアの境界の音圧変化を急峻にする必要があるが、源音源の周囲に位相反転した音源を配列することで、これを実現することができた。その急峻度は2-3倍にも及んだ。<3>可聴域と周囲との音圧レベル差も重要であり、このためには、源音源の集積モードの改善と最適集積個数の配置が必要であった。この検討の結果、隣席位置との音圧差約40dBを実現することができた。この差は通常の聴取レベルにおいて、隣席者はほとんど内容が聞き取れない状況になる。以上の課題が解決され、当初目的とした、遠隔会議、遠隔教育受講のための音源として十分な特性が実現されたと考えている。
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Research Products
(5 results)