Research Abstract |
本年度の研究では,本科研費のグループが中心となって刊行した「活断層詳細デジタルマップ」(東大出版会,2002)の活断層線分データ見直しの一貫として,中国地方の活断層の再判読調査を行った.その結果,2000年鳥取県西部地震の震源断層付近に,新たに推定活断層を見いだした.また,これまで見落としていた活断層が新たに発見された(高田ほか,2003)).これは,活動度が小さい横ずれ・縦ずれ活断層に対する調査結果である.一方,従来その存在が確かとされている活動度の大きい活断層でも,地下資料の充実と空中写真の精密な判読調査の結果,その存在が否定されるもの(鴨川地溝帯断層),重要な活断層が見落とされていたもの(中部地方・高山盆地周辺)など,再判読調査によって,活断層の線分データの修正作業がすすんだ.これらのデータに基づいて,地表の土地利用のデータと重ね合わせてみると,断層上に学校などの公共施設が数多く建設されていることがわかった. 一方,活断層の活動性を評価するための属性データの整備のために,主要な活断層について,調査を行った.特に活断層のセグメンテーションを検討するための基礎資料として,活動度(平均変位速度や活動周期最新,活動時期)を,逆断層として東北地方の活断層を,横ずれ断層として中央構造線を対象にそれぞれ行った.前者では,活動度が高い,新庄-山形盆地の活断層と逆に活動度が低い仙北平野を例に,それぞれ断層変位速度の検討をおこなった.横ずれ断層については,活断層の分岐現象と断層変位の分配について検討をおこなった.結果はいずれも学会などで公表予定である. また,こうした新しい活断層線分データをベクトル化し,新規に得られた諸元データと合わせ新たなGISブラウザーで見る検討を行い,他の地学的データとの重ねあわせについて検討を開始した.以上については,すでに学会などで公表してきた.
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