2006 Fiscal Year Annual Research Report
アジア域における人間活動による大気環境変動の将来予測 -将来化学気候図の作成-
Project/Area Number |
15310011
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Research Institution | National Instiute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
大原 利眞 独立行政法人国立環境研究所, アジア自然共生研究グループ, 室長 (80313930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
顔 暁元 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 研究員 (20360761)
菅田 誠治 独立行政法人国立環境研究所, アジア自然共生研究グループ, 主任研究員 (40260187)
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Keywords | アジア / 大気環境 / 将来予測 / 化学天気図 |
Research Abstract |
アジアの大気環境問題は世界で最も重要な環境問題の一つと考えられる。さらに、将来的に、エネルギー消費の増大、産業構造の変化、土地利用の変化に伴う大気質の激変が予想されることから、アジアにおける大気環境の将来変化を予測し定量化することは緊急かつ重要な課題である。しかし、その重要性に比して、アジアにおけるエアロゾルや対流圏オゾンなどの大気汚染物質の将来動向を予測した研究は極めて少ない。このような背景のもとで、本研究では以下の点を明らかにすることを目的とする。 (1)アジアにおける将来のエネルギー消費動向、産業構造変化、土地利用変化を予測し、化石燃料、工業プロセス、農業プロセス、自然を起源として発生する各種の大気汚染排出量を推計する。 (2)大気組成変動予測シミュレータを開発し、アジアにおける対流圏オゾンとエアロゾルの将来変動を予測して高分解能の化学気候予測図を作成する。 本年度は、将来2010,2020年におけるアジア域のエミッションインベントリを、3種類の将来排出シナリオを設定して作成するとともに、大気組成変動予測シミュレータを使用して対流圏オゾンとエアロゾルの将来変動を予測した。その結果、例えば、持続可能型シナリオでは、2020年のアジア域NOx排出量は2000年に較べて40%増加し、それに伴って地表オゾン濃度は、中国国内で10-15ppb、東シナ海・九州から西日本にかけて4ppb、関東地域で3ppb、それぞれ上昇することが予測された。このように、中国をはじめとする発展途上国の経済発展に伴う大気汚染排出量の増大により、日本を含む広籠囲な地域において対流圏オゾン濃度が上昇する危険性がある。しかし、この結果は、将来排出シナリオによって大きく変化することが明らかとなった。
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