2005 Fiscal Year Annual Research Report
南極・昭和基地への対流圏物質輸送:中・低緯度の影響評価
Project/Area Number |
15310012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松永 捷司 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (60022729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩坂 泰信 金沢大学, 自然計測応用研究センター, 教授 (20022709)
田阪 茂樹 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (60155059)
塩原 匡貴 国立極地研究所, 南極圏環境モニタリング研究センター, 助教授 (60291887)
森本 真司 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 助手 (30270424)
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Keywords | 南極 / 環境変動 / 物質輸送 / エアロゾル / ラドン / 一酸化炭素 / 昭和基地 / 粒径分布 |
Research Abstract |
本研究では、南極・昭和基地における大気エアロゾル粒子の観測として、5nmから5μmにかけての粒径分布観測や粒径別エアロゾル中のイオン成分、スス粒子、個別粒子の解析などを行った。さらに、物質輸送のトレーサーとして有用なラドンと一酸化炭素の濃度を測定し、中・低緯度から南極地域への物質輸送について知見を得ることを目的とした。大気観測は、南極への船上観測(オーストラリア〜昭和基地)と昭和基地での通年観測(越冬観測)、航空機をもちいた昭和基地上空の大気エアロゾル観測からなり、空間的な分布を捉えることと、季節変化や季節内変化としてのイベントを押さえることに主眼を置いた。 本年度は最終年度なので、昭和基地でのデータ取得を継続すると共に、昨年度までに得られたデータの解析を行った。その結果、スス粒子濃度やRn濃度の変化から、特に冬から春にかけての低気圧活動に伴って、中・低緯度の物質が南極へ輸送されていることが示唆された。これら以外にも興味深い現象が幾つか観測されている。一つは、極夜の弱風時に、著しく高いエアロゾル濃度が観測された事例である。おそらく海塩粒子が主成分と考えられるが、なんらかの要因で中・高緯度帯の開水面から大規模にしかし穏やかに輸送されてきたことを暗示している。また、春から秋にかけての季節には、南極大気中での新生粒子の生成と成長に関するデータも得られた。航空機を用いた高度分布の観測からは、高度4kmを境にエアロゾルの体積濃度や粒径分布パラメーターが異なっていることがわかった。
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Research Products
(5 results)