2003 Fiscal Year Annual Research Report
大河川の影響を受ける亜寒帯沿岸域における基礎生産過程のダイナミクス
Project/Area Number |
15310019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
工藤 勲 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (00195455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤辺 智雄 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (30241376)
齊藤 誠一 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (70250503)
門谷 茂 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (30136288)
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Keywords | 流域圏 / 栄養塩 / 基礎生産 / 植物プランクトン / 従属栄養バクテリア / 十勝川 / 鉄 / 炭素循環 |
Research Abstract |
我が国を代表する一級河川である十勝川とその流入する十勝川河口域から沿岸域にかけて基礎生産過程の理解に必要な化学成分、生物化学パラメータの測定を行った。本年度の研究によって得られた新たな知見は以下の通りである。 1.十勝川の水量は、4月から雪解けによる増水期を迎え、通常時の10倍程度増加した。この高い水量は、6月下旬まで継続した。河川水中には、植物プランクトンの増殖に必須の窒素、珪素、鉄等の栄養塩を豊富に含んでいた。上流から下流及び支流の水質解析より、この栄養塩の起源として、森林、農業・酪農、都市排水などが考えられた。 2.沿岸海域の調査から十勝川の影響が、河口から10km四方、深度20m程度まで確認された。河口に近接した地点では塩分の低下に伴う栄養塩の増加が観測された。しかし、植物プランクトン量の指標であるクロロフィルaは、沖合に比べ高くはなかった。これは、河川からもたらされる粒子等により光が遮られているため栄養塩が十分あるにも係わらず植物プランクトンが増殖できないものと推察された。 3.従属栄養バクテリアは、河口域で豊富に存在していた。同時に従属栄養バクテリアの成長に必要な溶存有機物も豊富に存在していた。これは、十勝川からもえらされる有機物によってその影響を受ける海域の従属栄養過程が活性化されていることがその原因と推察された。また、本研究で新たに開発した手法によって従属栄養バクテリアの死亡の80%がウイルスの感染によっていることが明らかになった。
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