2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15310022
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
肥田野 登 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (90111658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 滋夫 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (50126330)
桑子 敏雄 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (30134422)
中川 正宣 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (40155685)
加藤 尊秋 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助手 (20293079)
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Keywords | 経済評価 / 環境評価 / CVM / 地球温暖化 / 生態系 / ゲーム論 |
Research Abstract |
本研究は3つの領域に関して行われたが、それぞれ本年度の成果を示す。 (1)環境認識と評価主体の自己概念に関する研究 昨年度の研究成果を引き継ぎ、環境と人間の関係についての捉え方を分類整理した。特に西洋と日本の構造を比較し、従来の経済学的な環境評価システムとは異なる評価主体のあり方について検討した。 (2)ゲーム理論による環境評価の枠組みに関する研究 環境の経済評価においては、近年の実験経済学でその存在が確証されつつある互恵的行動が重要な意義を持つ。そこで、Investment Gameを中心に、互恵的行動に関する研究の整理を行った。 また、(1)で明らかにされた評価主体のあり方をゲーム理論に応用した。このゲームでは、主体の合体にともない効用関数が変化する状況を想定した。すでに開発済みの2段階2人非協力ゲーム(Hidano and Muto 2002)を発展させ、合体コスト、混合戦略を考慮する、さらに変化した効用関数の確率密度関数が任意の場合の定式化をおこない、その解の挙動を数値実験により明らかにした。 (3)CVM手法の開発に関する研究 上記(1)および(2)の成果をもとに、環境問題に関する適切な経済評価手法を構築すべく、東京工業大学においてパネル形式のCVM調査を行った。この調査は、諸要因の統制のために実験室で行われ、日本政府の地球温暖化対策に対する評価を題材に、被験者の熟慮の程度を測定した。なお、熟慮の程度は、従来から用いられてきた参加率に加え、調査に費やす時間、主観的な真剣さの心理尺度等により計測した。この結果、経済学的な観点から予想されていた政策影響度条件に加え、調査者と被験者の間に生じる互恵的関係が熟慮の程度に影響を与えることがわかった。以上の結果をもとに、生態系に代表される環境財の価値を適切に計測するための手法を検討した。
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