2004 Fiscal Year Annual Research Report
原爆被ばく試料から分離したユーロピウムの高純度化による原爆中性子束の高確度再評価
Project/Area Number |
15310035
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中西 孝 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (00019499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 明彦 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (80230655)
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Keywords | 原爆被ばく試料 / 原爆中性子 / 中性子誘導放射能 / Eu-152 / Ac-227 / Euの化学分離精製 / Smの蛍光X線 |
Research Abstract |
平成15年度に引き続いて,長崎原爆の爆裂点から直線距離1595mの位置で被ばくしたコンクリート試料についての検討を行った。すなわち,平成13年度末までに,約19kgのコンクリート柱状試料(平成9年に採取)の骨材(安山岩)約7.8kgから化学分離によって約54gの粗製希土類フラクションを得(アクチニウム(Ac)-227の娘核種による妨害のため,ユーロピウム(Eu)-152の高確度定量を達成できなかった),平成15年度において粗製希土類フラクション約54gをアルカリ溶融で全分解した後,沈でん法とイオン交換樹脂カラム法による主要元素(アルミニウム,ケイ素など)の除去と硝酸系でのジ(2-エチルヘキシル)リン酸(HDEHP)による溶媒抽出(EuとAcの相互分離)を順次行って,精製Euフラクション(約0.2g)を得ていた。この精製Euフラクションの極低レベルX線/γ線スペクトロメトリーを3カ月間行った結果,Eu-152の電子捕獲壊変に伴って放出されるサマリウム(Sm)K-X線(40.124keV,39.523keV)によって極微弱なEu-152放射能が検出された。しかし,Sm K-X線(40.124keV,39.523keV)の計数率に基づいて算出されたEu-152放射能は,広島・長崎の原爆放射線量に関する計算方式DS86及びDS02によって推定されるものに比べて約10倍多いことが分かった。 その原因について種々考察した結果,精製Euフラクションを謝定試料としてSm K-X線によってEu-152の放射能測定を行うときには,試料によるX線の自己吸収に注意を要することは言うまでもないが,それ以上に,試料に含まれる核種からのアルファ線によって試料に含まれるSmが蛍光X線を放出することにも注意しなければならないことに気付いた。 そこで,精製Euフラクションに含まれる量と同量のSm試薬に既知量のアルファ放射体を種々のレベルで混在させて,Smの蛍光X線発生率を測定する実験を開始した。その結果,精製Euフラクションに含まれるSmと共存アルファ放射体によってもSm K-X線が相当発生していることが確認された。この蛍光X線の寄与を正確に補正するために,精製Euフラクションに含まれるアルファ放射体の定量を開始したところである。
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Research Products
(3 results)