2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射線および酸化ストレスに対する細胞応答の分子機構と誘導性遺伝子の機能の解析
Project/Area Number |
15310037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米井 脩治 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60093340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 秋梅 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00260604)
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Keywords | 放射線感受性 / クラスター損傷 / DNAグリコシラーゼ / 活性酸素 / APエンドヌクレアーゼ / 8-オキソグアニン / 塩基除去修復 / ストレス応答 |
Research Abstract |
電離放射線によって生じた酸化的損傷の多くは、生物の代謝活動の結果生じた過酸化水素などの活性酸素種による酸化的損傷と化学的に区別することはできない。しかし、それらの損傷はDNA鎖上での分布という点で異なっている。電離放射線はクラスター損傷と呼ばれる特有の損傷を作るというモデルが提唱されている。クラスター損傷とは放射線の1つのエネルギー付与によってDNAのらせん1〜2巻きのうちに2つあるいはそれ以上の酸化的損傷が生じるものを言う。クラスター損傷は通常の酸化的損傷より修復されにくいと考えられており、生物にとって重要な損傷であると言える。本研究では、ヒト培養細胞のHeLaS3に、核に局在するhOGG1 type1aと、ミトコンドリアに局在するhOGG1 type2aとをそれぞれ過剰発現させた細胞株を作製しそれらのガンマ線感受性を調べた。結果はどちらのhOGG1の過剰発現細胞株も通常のHeLa細胞よりもガンマ線に対して高い感受性を示した。γ-H2AX fociを指標とした二重鎖切断定量実験によって、過剰発現されたhOGG1 type1aの作用によりクラスター損傷から二重鎖切断が誘導されたことを示唆する結果が得られた。損傷塩基が向かい側に存在すると過剰発現しているhOGG1によってDNAの両鎖で除去修復が起こる可能性があり、それが二重鎖切断につながることが考えられる。
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Research Products
(7 results)