Research Abstract |
1.DNAグリコシラーゼの特性解析 酵素トラップ反応基質であるoxanineを含むオリゴヌクレオチドを用いて,各種DNAグリコシラーゼの損傷除去活性を検討した。ヒト酵素(hSMUG1,hMPG, hNTH1, hNEIL1, hNEIL2, hOGG1)および大腸菌酵素(Ung, AlkA, Endo III, Endo VIII, Fpg)は,いずれもoxanineに対し無視できる程度の極めて弱い損傷除去活性(N-グリコシラーゼ活性)しか示さなかった。また,spermineとの反応により,oxanineをoxanine-spermine付加体に変換した場合は,上記の酵素はまったく損傷除去活性を示さなかった。これらの結果から,細胞粗抽出物を用いて修復タンパクの探索を行う場合,oxanineは内在性のDNAグリコシラーゼにより除去されることなく安定にプローブDNA中に存在し,トラップ反応が可能であることが示された。 2.トラップ反応を用いたDNA修復酵素の探索 HeLa細胞から細胞粗抽出物を調製し,これとプローブDNA(oxanineを含む二重鎖オリゴヌクレオチド)をインキュベートした。oxanine-タンパク質クロスリンク生成物を精製し,さらに,SDS-PAGEにより各生成物を分離した。得られたクロスリンク生成物の見かけのサイズは28-100kDaであった。個々のバンドをゲルから切り出し,mass fingerprintingにより分析した。その結果,クロスリンクタンパクとして,ヒストンおよびRNAスプライシング関連タンパク質のほかに,複数の機能未知タンパク質およびDNA修復との関連が示唆されるタンパク質が同定された。後者のタイプのタンパク質については,DNA修復との関連の解明および機能解析に向けて検討を進めている。
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