2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規核タンパク質NP95によるヒト体細胞放射線防御の機構
Project/Area Number |
15310044
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Research Institution | National Institute of Radiological sciences |
Principal Investigator |
藤森 亮 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線安全研究センター, 研究員 (50314183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 紘一 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線安全研究センター, 研究員 (30131022)
武藤 正弘 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線安全研究センター, 研究員 (80166230)
高萩 真彦 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線安全研究センター, 研究員 (30260235)
久保 ゑい子 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線安全研究センター, 研究員 (40161658)
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Keywords | DNA結合蛋白質 / 損傷DNA / 一本鎖DNA / MAR DNA / ゲルシフト / 蛋白質-DNA相互作用 / 高次DNA構造 / クロマチン |
Research Abstract |
放射線防御機構に関与するhNP95核蛋白質の生化学的な性質を特定するために、hNP95蛋白質の精製と特異的抗体の作成を行った。 hNP95をHis tagとの融合蛋白質として昆虫細胞にて高発現させ、その細胞抽出液をニッケルカラムに通してhNP95を部分精製した。電気泳動後に切り出したhNP95を用いてマウスを免疫し、抗hNP95抗体産生ハイブリドーマを得た。複数のクローンにおいて抗体の産生がみられ、その抗体を用いてX線照射後のヒト細胞(HEK293)における局在性を調査した。照射細胞では、hNP95の一部がDNA切断部位を示すγ-H2AX蛋白質のシグナルとの重なる一方、他の部位への集積も確認された。従ってhNP95は、二本鎖切断部位に加えて、他の未知な構造と相互作用することがわかった。 部分精製されたhNP95は、DNA切断や一本鎖領域を含む変性DNAアフィニティカラムにてさらに分画した。最終的に、陰イオン交換カラムを通してhNP95の精製標品を得た。 ゲルシフト解析から、hNP95は、線状DNAに比較してスーパーコイルDNAや、ニックを含む環状二本鎖DNA、一本鎖DNAに対してより強固な親和性を示した。この結果は、細胞核内でhNP95が二本鎖切断端以外に局在することと対応する。また高濃度の蛋白質の共存は、ゲル中を移動できない巨大な蛋白質-DNA構造体の形成を促した。 hNP95とDNAの結合によって高次の複合体が形成されることを確認するために、遠心分離法によって解析した。その結果、hNP95は一本鎖DNAと相互作用したときのみ、沈降性の巨大な凝集体を生成することがわかった。この凝集会合性は、核マトリックスにあるMAR DNA配列と特異的に結合するMAR因子に共通して見出されており、hNP95もまた同様の機能によって、クロマチン高次構造の変換に関わる可能性が示唆された。
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