2003 Fiscal Year Annual Research Report
走査トンネル顕微鏡を用いた振動励起で誘起される単一吸着分子運動の理論
Project/Area Number |
15310071
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
上羽 弘 富山大学, 工学部, 教授 (70019214)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三井 隆志 富山大学, 工学部, 助手 (70303211)
|
Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 吸着 / 非弾性トンネリング / 振動励起 / 単一分子 / 表面反応 |
Research Abstract |
初年度の研究計画に基づき、予想以上の成果を挙げることができた。 具体的には 1)吸着分子の振動励起を介した非弾性トンネルの素過程を明らかにし、走査トンネル顕微鏡(STM)で観測される非弾性トンネルスペクトルがトンネル電子の経由する吸着分子電子状態によってどのように変化するか、さらに吸着分子の振動緩和がどのように非弾性トンネルスペクトルに反映されるかを明らかにした論文をPhysical Review Bで発表した。 2)吸着分子の非弾性トンネル電流とトンネル電子による振動励起速度の関係を初めて理論的に明らかにした。非弾性トンネル電子に誘起された吸着子運動の素過程の理論と結合させることで、運動確率のトンネルバイアス電圧依存性で観測されるであろう振動緩和や温度の影響を理論的に明らかにした研究成果は現在Physical Review Bに投稿中である。 3)走査トンネル顕微鏡を用いた振動励起で誘起される単一吸着原子・分子運動の運動や反応に関する先駆的な実験と理論の現状を総合的に概観したものとしては世界で初めての総合解説論文を出版した。 4)2002年の3月に雑誌「サイエンス」で実験グループと共同で発表した"走査トンネル顕微鏡を用いた振動励起で誘起される単一吸着分子運動の理論"が世界的に高く評価され、9月にプラハで開催された第22回ヨーロッパ表面科学国際会議および11月に奈良で開催された原子制御表面・界面・ナノ構造に関する第7回国際会議で表面吸着分子の非弾性トンネル分光の理論と単一分子運動の理論に関する招待講演を行った。これらの講演に基づいて、単一吸着子の運動を誘起する素過程の理論の現状と今後の展望を中心とした招待論文がそれそれの国際会議のプロシーディングとして出版されることが決定している。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] H.Ueba: "Motions and reactions of single adsorbed molecules induced by vibrational excitation with STM"Surface Review and Letters. 10・5. 771-796 (2003)
-
[Publications] T.Mii, S.Tikhodeev, H.Ueba: "Spectral features of inelastic electron transport via a localized state"Physical Review B. 68. 205606-1-205606-5 (2003)
-
[Publications] H.Ueba: "Theoretical state-of-the art in adsorbate motions and reactions induced by inelastic tunneling current with STM"Surface Science. (2004)
-
[Publications] H.Ueba: "Theory of inelastic tunneling and manipulation of a single adsorbate with STM"Applied Surface Science. (2004)