2005 Fiscal Year Annual Research Report
走査トンネル顕微鏡を用いた振動励起で誘起される単一吸着分子運動の理論
Project/Area Number |
15310071
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
上羽 弘 富山大学, 工学部, 教授 (70019214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三井 隆志 富山大学, 工学部, 助手 (70303211)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 振動励起 / 非弾性トンネル / 吸着分子 / 表面反応 |
Research Abstract |
平成15年度から3年間に渡る研究計画の最終年度に当たり、今年度の研究成果に記載されているように、予想以上の成果を挙げることができた。従来からの研究成果に加えて、これらの研究成果を受けて、平成18年9月に行われるアメリカ化学会年次総会を含め3つの国際会議から招待講演を依頼されており、走査トンネル顕微鏡を用いたトンネル電流による振動励起に誘起された吸着分子の運動と反応に関する理論研究では世界をリードする研究成果が得られた。 具体的には 1)単一分子の反応に直接関係する反応座標モードをトンネル電子が励起する時の、反応速度とトンネル電流の関係、特に温度と反応座標振動モードの緩和時間の影響を明らかにした。 2)トンネル電子によって励起される振動モードが反応座標モードと非調和結合して単一吸着子の運動や反応が誘起される場合の一電子過程、二電子過程の理論的なシナリオを初めて構築した。 3)上記の素過程の理論を銅表面に吸着したアンモニア分子の脱離の実験解析に適用し、密度汎関数理論を用いた数値計算により、二電子過程による脱離速度を求め、定性的に実験結果との良い一致を得た。 4)銅と銀の表面に吸着した一酸化炭素分子の電子、振動状態を密度汎関数理論を用いて計算し、これらの金属表面で一酸化炭素分子がその振動励起によって表面ホッピングを起こす可能性を検討した。 5)白金のステップ表面に吸着した一酸化炭素分子の表面ホッピングがフェムト秒可視レーザパルス照射によって誘起され、それには従来考えられていたような束縛並進モードではなく、束縛回転モードの励起が本質的な役割を果たすことが示唆する極めて興味ある研究成果がサイエンスに掲載されたが、これに関する展望記事を同じサイエンスに掲載した。
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Research Products
(5 results)