2004 Fiscal Year Annual Research Report
走査型アトムプローブによる高機能電子材料の原子レベルの解析
Project/Area Number |
15310077
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷口 昌宏 金沢工業大学, 環境・建築学部, 助教授 (30250418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 治 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (10108235)
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Keywords | 走査型アトムプローブ / 機能性電子材料 / 炭素材料 / ナノチューブ / 導電性高分子 / ポリチオフェン / 酸化物光触媒 / 酸化チタン |
Research Abstract |
走査型アトムプローブ(SAP)の特性を生かし、以下の研究成果を挙げた。 1.企業から提供を受けてカーボンナノチューブを分析したところ、2004年に入手できた試料は電導性が良好なために、電圧パルスの印加でAP分析が可能であった。2004年の試料では、飛び飛びの炭素数を持った特定の質量のクラスタピークが検出され、ある一定の構造のグラファイトシートが規則正しく解裂して電界蒸発したことが示唆された。(2003年以前の試料では炭素数が一つずつ異なるクラスタイオンピークが、一連の系列として検出された。) 2.導電性ポリマーであるポリチオフェン試料の電界蒸発について2003年の実験結果を理論計算の結果と比較検討した。その結果、分子鎖の解裂により、チオフェンモノマーに対応するクラスタが生成することを理論計算でも見出し、実験結果との良い一致をみた。また、実験では、違う条件下で、その他のクラスタの生成も見出され、試料の重合条件との関連を検討した。 3.層状酸化チタンのAP分析にあたり、試料の調整方法を改良し、出発物質中の過剰分の電解質除去に成功した。酸化チタン上での有機分子の光触媒分解反応を調べるために、まず陽イオン性の有機分子について単独でのAP分析を行ったところ、分子イオンのピークを得ることができた。次に酸化チタンに同じ分子をイオン交換吸着させて分析すると、フラグメントイオンが検出された一方で、分子ピークは完全に消失した。これにより、酸化チタンの光触媒作用によって、違う過程で有機分子の解裂がおこっていることが明らかとなった。
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