2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15310082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
江川 千佳司 宇都宮大学, 工学部, 教授 (30151963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 秀和 宇都宮大学, 工学研究科, 助手 (10311599)
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Keywords | 自己組織化 / 水素結合 / アラニン / Cu(100)表面 / STM / 振動分光法 |
Research Abstract |
これまでの研究において,キラリティーをもつ最小のアミノ酸であるアラニン分子のラセミ混合がCu(001)表面に吸着すると,光学異性体が[110]方位に沿って分離した秩序構造を形成することなどを明らかにしてきた.本研究では,一方のアラニン光学異性体を用いてSTM像による吸着構造の観察と,高感度反射赤外分光法を用いた分子の振動状態の測定を行い,どのようにして光学異性体が分離した吸着構造を形成するのかについて検討した. アラニン分子はCu(001)表面上で隣り合う分子のカルボキシル基とアミノ基の間で水素結合を形成するためc(2x4)の吸着周期構造で安定化するものと考えられていた.この秩序構造の形成初期過程をSTMで観察すると,c(2x4)構造を形成する要因である[130]方位の水素結合の他に,[110]方位にも水素結合による安定化が働くことを見出した.この作用を最大にするためには,カルボキシル基の酸素原子は表面Cu原子から少し変位した位置に存在するが必要となるが,これは最近の光電子回折による吸着構造研究の結果とも矛盾していない.さらに,赤外分光法によるアミノ酸分子の振動分光から,吸着初期から飽和吸着までカルボキシル基の2つの酸素原子はほぼ等価であり,メチル基を表面から垂直方向に向けて吸着した構造であることを確認できた.STM像の結果と合わせて2次元周期構造形成の要因として,吸着分子間に働く2方向の水素結合が重要であることを明らかにできた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] H.Iwai, H.tobisawa, A.Emori, C.Egawa: "STM study of D-alanine adsorption on Cu(001)"Surface Science. (In press).