2005 Fiscal Year Annual Research Report
量子化学計算による電流検出型DNAチップの特性解析
Project/Area Number |
15310088
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
栗田 典之 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (40283501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 成典 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10379480)
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Keywords | DNAチップ / 電荷移動 / 量子化学計算 / PNA / DNAミスマッチ / 密度汎関数法 / 電流電圧特性 / フロンティア分子軌道 |
Research Abstract |
(1)DNA等の鎖状高分子の電流電圧(I-V)特性を解析する手法の開発 DNAの各塩基サイトのエネルギーレベルとサイト間の電荷の移動積分を与えると、電極に挟まれたDNAのI-V特性を求めるプログラムを開発した。ここで、移動積分は、Generalized Mulliken-Hush理論を基に構築した式を用い、DNAの電子状態計算により得たフロンティア分子軌道のエネルギーレベルを基に見積もった。電子状態計算は、DNA周囲のカウンターイオン、溶媒水による電場の影響を考慮して行った。 (2)ミスマッチのあるDNA2重鎖の電流電圧特性の解析 実験で電気伝導特性が得られているミスマッチのあるDNA鎖について、I-V特性を解析し、実験結果と定性的に一致する結果を得た。つまり、G-CからG-Aへのミスマッチにより、I-V特性は殆ど変化しないが、A-TからA-Cへのミスマッチでは、電流値が大きく減少する現象を、シミュレーションにより再現した。この原因は、塩基対周辺の構造変化とそれに伴うフロンティア分子軌道のエネルギーレベルと空間分布の変化にあることを、シミュレーション結果を基に明らかにした。 (3)1重鎖及び2重鎖DNAの電流電圧特性の解析 1重鎖及び2重鎖DNAの構造と電子状態の違いを、DNA周囲に存在するカウンターイオンと水分子の影響を考慮した分子動力学及び分子軌道計算により明らかにした。さらに、DNA中のホール及び電子の移動積分を見積り、1重鎖と2重鎖DNAのI-V特性の違いを明らかにし、実験と定性的に一致する結果を得た。その結果を基に、1重鎖DNAでは、構造が大きく変化し、塩基間のスタッキング構造が崩れ、その結果、電荷移動の起り易さが大幅に減少することを明らかにした。 (4)PNA(ペプチド核酸)とDNAの2重鎖の電子状態の解析 実験でDNA1重鎖とより強く2重鎖構造を形成することが観測されているPNAに対して、密度汎関数法に基づく分子軌道計算を行い、PNA-DNAの結合がDNA-DNAの結合より強くなること、及びその原因を、初めて明らかにした。今後、PNA-DNAの電流電圧特性を解析し、DNAチップに代わる新規バイオチップとして、PNAが適しているかどうかを明らかにする予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Investigation of a Kubo-formula-based approach to estimate DNA conductance in an atomistic model2005
Author(s)
Starikov, E., Tanaka, S., Kurita, N., Sengoku, Y., Natsume, T., Wenzel, W.
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Journal Title
The European Physical Journal E 18
Pages: 437-445
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より
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