2004 Fiscal Year Annual Research Report
プラズモン共鳴構造物研究のための金属ナノパターンのマニピュレーション技術の確立
Project/Area Number |
15310097
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
宮崎 英樹 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, 主幹研究員 (10262114)
|
Keywords | マイクロマニピュレーション / 走査電子顕微鏡 / プラズモン |
Research Abstract |
本研究の目的は、金属ナノパターンを走査電子顕微鏡(SEM)観察下のマニピュレーションにより移動させて近接させ、プラズモン共鳴構造物を作製する技術を確立することであった。しかし、初年度の研究により、電子線照射によるコンタミネーションの析出のため、SEM観察の前後でプラズモン共鳴特性が変化する、という重大な問題が明らかになった。その一方で、系統的な理論計算の結果、マニピュレーションを必要としない、新しいプラズモン共鳴構造物を発見していた。そこで、本年度は、この新しい構造の設計手法を確立し、厳密な理論計算と実験により、実際のプラズモン共鳴の様子を調べることに集中した。 我々が見い出したのは、近接した金属ナノパターンにおけるプラズモン共鳴は、金属クラッド・誘電体コアで構成される導波路を伝搬する2次元光波の開放端での反射と解釈できるということである。つまり、大事なのは有限長の導波路を作ることであって、必ずしもマニピュレーションによりパターンを機械的に操作してnmレベルのスペーサ層を介して近接させる必要はない。 我々はnmレベルのコアを実現するために、多層膜として金属クラッド導波路を作り、これを上方から2次元的に切り出す方法を採用した。合成石英基板上にDC/RFマグネトロンスパッタリングにより金/シリカ(厚さD)/金多層膜を作製し、そのエッジ付近に、幅3μm、長さLの矩形共振器を残して、周囲を集束イオンビームで除去した。これまでにD=1.7〜56nm、L=55〜495nmの共振器を作製した。ほぼコリメートした白色光を端面から垂直に入射したときの反射スペクトルを顕微測定したところ、共振器長Lが小さくなるにつれてディップが短波長側にシフトすることがわかった。 また、理論計算により,このディップがプラズモン共鳴に対応していることがわかった。
|