2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15310101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 博之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90134642)
金 範ジュン 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (60334356)
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Keywords | マイクロ振動子 / 無線高周波 / マイクロ・ナノ加工 / 静電検出 / トンネル電流検出 / 共振 / 機械的振幅変調 |
Research Abstract |
本研究では、無線情報通信に用いる送受信機の格段の性能向上と、小型1チップ化を図るため、半導体技術を援用したマイクロ・ナノ加工によりGHz帯の振動子を作り、その振動を高感度に検出する方法を研究した。 まず、近年急速な発展を遂げているマイクロマシーニング技術に着目し、これを用いて10〜100ナノメートル級寸法のシリコン振動子を作り、高性能無線送信機に必要なGHz帯の共振周波数を実現した。マイクロマシーニング技術は、10nmを切る立体微細加工ができるだけでなく、CMOSチップの製造プロセスと適合性がよいため1チップの集積化が可能となると期待できる。微細加工により、静電駆動用のギャップを数10nm程度に縮めることで、高周波回路の低電圧を加えただけで励振を行えるようにした。刃形のマイクロ振動子を作り、その両脇に数十nmの空隙を空けて、静電結合による振動の励起と検出を行う電極を形成した。駆動電極に高周波励振電圧を加え、検出電極に中間周波数である50MHzと直流バイアス電圧とを印可した。振動子が共振する周波数に+/-50MHzが加わった信号が得られた。この測定により、基本モードが1.104GHz(Q=180),第二次共振モードが2.5GHz(Q=62)であることが分かった。刃形のマイクロ振動子の幅をさらに小さくすることで、Q値の増大が期待できる。 一方、振動子を小型化すると振動振幅も小さくなり、検出方法が問題となる。本研究では、真空トンネル電流が0.1nm程度のギャップ変化に応じて一桁増減する現象に着目し、既に実証済みのマイクロマシン応用トンネル電流センサを適用することで、超高感度の振動検出を試みた。3インチのSOI基板に、電子ビームリソグラフィ、エッチング装置を用いナノ振動子・入力電極・高周波配線を製作し、トンネル検出デバイスとアクチュエータを一体加工した。しかし、プロセスの最小分解能(1μm程度)で作った真空トンネルギャップを、マイクロアクチュエータにより数nm程度に狭める動作の評価を行ったところ、トンネル電流が検出できるほどに接近させることができなかった。現在、デバイスの構造を見直し、新たなマスクパターンを設計して、デバイスの製作を行っている。
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