2003 Fiscal Year Annual Research Report
統合的分子シミュレーションによる新規ナノ光機能材料の提案
Project/Area Number |
15310105
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
関野 秀男 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40335104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
墨 智成 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40345955)
栗田 典之 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (40283501)
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Keywords | アゾデンドリマー / 非経験的分子軌道計算 / 分極率 |
Research Abstract |
アゾデンドリマーは中心にアゾベンゼンを有し6員環をユニットとしてフラクタル状に世代を展開するデンドリマーであるが、4世代をこえると赤外領域の入射光に対して非線形的振る舞いをすることが知られている。先行の理論研究の多くは各ユニットを振動子に近似したモデル計算による解析であり、他のデンドリマーに対しても半経験的分子軌道法によるものである。本プロジェクトではアゾデンドリマーの非経験的計算を行うことにより、より現実的なエネルギー伝達機構の理論解釈を行うものである。15年度は主にアゾデンドリマーの代表的コンフォーメーションを探し、それについて非経験的分子軌道法による基底状態の構造最適化を行った。用いた非経験的方法はハートリーフォック法であり、非経験的方法の中では最も計算負荷の軽いものであるが、それでも4世代を超える大分子系ではかなりの計算負荷を伴うため、あらかじめ基底関数の選択などに関するノウハウを構築する必要があった。いくつかの基底関数を用いて分極率計算を計算した所、STO-3G基底では物性計算の定量的に算定することは難しく、最低3-21G基底が必要である事が分かった。また分極関数は線形分極率の算定では質的におおきな影響を与えない事が分かった。デンドリマー構造はトポロジカルな構造であり、同じ世代のアゾデンドリマーの中に化学的アイソマーが多く存在する。我々はSTO-3G基底関数を用いていくつかの低世代アゾデンドリマーの構造最適化を行った。第二世代でもその4つのユニットが全部外に向いているもの、全部内に向いているもの、それらの組み合わせと各種のアイソマーが考えられたが、全部内向きのものがもっとも最安定でそれ以外のものの間では有意なエネルギー差が見られなかった。
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