2004 Fiscal Year Annual Research Report
純化した始原生殖細胞を用いた網羅的EST種間比較による生殖細胞分化共通基盤の探索
Project/Area Number |
15310133
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
田中 実 基礎生物学研究所, 生殖遺伝学研究室, 助教授 (80202175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 訓也 独立行政法人, 理化学研究所・動物変異動態解析技術開発チーム, チームリーダー (40240915)
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Keywords | 始原生殖細胞 / EST / 発生 / 分化 / 脊椎動物 |
Research Abstract |
メダカは胚体が透明なため、発生過程が外部から観察可能である。我々は生殖細胞特異的発現遺伝子のRNA翻訳制御領域を解析することにより、生殖細胞系列特異的に翻訳させるエレメントを同定した。このエレメントと蛍光蛋白質遺伝子とのキメラRNAを合成して受精卵に顕微微量注入することにより、生殖細胞系列を可視化することに成功している。この可視化した生殖細胞系列数個を単離し、ESTを作製、網羅的塩基配列決定を行い、マウス等の脊椎動物ESTとの比較検索を行った。その結果特定の分化段階で共通に発現する遺伝子を同定でき、その発現解析を行った。 さらに単離されたこれらESTの中には生殖細胞特異的細胞内構造物である生殖顆粒の構成成分と予期されるESTが見いだされた。この遺伝子と蛍光蛋白質遺伝子、翻訳制御エレメントをつないだキメラRNAを合成して遺伝子産物の細胞内局在を調べたところ、生きた胚での細胞内生殖顆粒構造の可視化が可能となった。 生きた胚でこの構造を持つ細胞を計時的に観察することにより、生殖細胞系列が受精卵より系譜をたどることが可能となり、さらには生殖顆粒構造変化により、以下に述べるように発生の特定の時期に複数の分化段階を経て配偶子形成可能な生殖細胞に分化することが明らかとなった。 まず胞胚期まではどの細胞にも生殖顆粒が見いだされたが、胞胚期直前に生殖顆粒が存在する細胞としない細胞とにわかれ、生殖細胞系列の分離が起きた。原腸陥入初期になると別の生殖顆粒構成成分の遺伝子が発現し、生殖顆粒の構造も変化した。この遺伝子の発現阻害を行うと生殖細胞の数が減り、異所的、また強制発現すると数が増加することからこの遺伝子は生殖細胞系列の確立に寄与することが示された。さらにこの後、生殖細胞非自立的分化がもう一段階あることが、異所的生殖細胞の生殖顆粒構造解析により明らかとなった(この部分は投稿中)。
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Research Products
(6 results)