2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスを用いた神経極性形成分子群の同定と細胞内ネットワーク解析
Project/Area Number |
15310140
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
稲垣 直之 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (20223216)
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Keywords | 神経細胞 / 軸索 / 樹状突起 / 細胞極性 / プロテオーム / 2次元電気泳動法 / 網羅的機能解析 / 機能ゲノミクス |
Research Abstract |
神経細胞は、1本の軸索と複数の樹状突起を有し神経極性を形成する。本研究は、プロテオミクスを用いて神経細胞の極性や軸索形成に関わる分子群を網羅的に同定し機能解析を行うことにより、神経極性形成・維持の分子ネットワークを明らかとすることを目的としている。これまでの研究で、我々は82個の神経軸索に濃縮するタンパク質を同定している。 本年度は、これらのうち2つの新規タンパク質の機能解析を重点的に行った。そのひとつshootin1の組織分布を調べたところ、shootin1は脳に特異的に発現しその発現量は軸索が形成される生後4日目にピークを迎えた。また、ラット海馬培養神経細胞では、shootin1が極性形成に伴って軸索の成長円錐に強く濃縮することが明らかとなった。さらに、shootin1の異所性の過剰発現は神経極性に乱れを惹き起こし過剰軸索を形成させた。以上の結果から、今回見出したshootin1は極性形成に関与する重要な分子であると結論された(論文投稿中)。もうひとつの新規分子(名前は未定)も脳特異的な組織分布を示し、ラット海馬培養神経細胞では神経細胞の極性形成とともにその発現量が上昇した。また、この分子は成長円錐内でアクチンフィラメントと共局在しており、極性形成に伴った神経突起成長を調節する重要な因子である可能性が示唆された。 さらに本年度は、高感度2次元電気泳動法とタンパク質のメタボリックラベルを組み合わせることにより、神経軸索内で翻訳合成されるタンパク質の網羅的検出を試みた。その結果、驚くべきことに細胞体で翻訳合成されるタンパク質の大部分が軸索でも合成されることがわかった。またこれらの中から、軸索でより多く翻訳合成されるタンパク質15個を検出し、質量分析によりそのうちの12個の同定に成功した。これらの中にはニューロフィラメントやアクチン結合タンパク質など、神経軸索形成に重要な役割を担う可能性のある興味深い分子が含まれていた。
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