2003 Fiscal Year Annual Research Report
分子進化解析と固体NMR法を用いた糖転移酵素タンパク質機能部位の解明
Project/Area Number |
15310155
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
斎藤 成也 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 教授 (30192587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹腰 清乃理 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10206964)
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Keywords | 糖転移酵素 / 固体NMR / 分子進化 / 大腸菌 / タンパク質立体構造 |
Research Abstract |
本年度の予算で購入したPCクラスターマシンを用いて、バクテリアの糖転移酵素遺伝子の系統解析を行った。特に、大腸菌の複数の株で変異が知られている細胞壁外の糖構造を与える糖転移酵素遺伝子群(大腸菌ゲノム中で直列に並んでいる)に着目して、それら20余のアミノ酸配列をクエリーとして相同性検索を行い、遺伝子系統樹を作成した。その結果、気質特異性の異なる数種類の糖転移酵素がひとつの相同群を形成した。これは、長い進化のあいだに、相同性を保ちながらも、一連のアミノ酸が置換することによって、基質特異性が変化していったことを示唆する。そこで、そのうちで大腸菌K12株のゲノムに存在する遺伝子Waal(旧名称はrfal)を選び、適切なプラスミドに挿入してそれを大腸菌に感染させ、この遺伝子の産物を大量発現させた。Hisタグを用いてカラム精製を行い、NMR解析に十分な量が得られた。個体NMR法でそのスペクトルを調べたところ、いくつかの明瞭なピークが観察された。特にラベルしていないので、自然界に少量存在する炭素13のシグナルを計測したことになる。そこで、このタンパク質が本当に糖転移酵素であるならば、基質となる糖(グルコースであると推定されている)が酵素表面の特定の場所に付着するはずである。そこで、炭素13でラベルされたグルコースおよびUDPグルコースを購入し、それらの付加によって、固体NMR法のスペクトルがどのように変化するのかを調べれば、基質が付着する酵素表面の特定の場所が推定できるはずである。来年度(2004年度)はこの方針で実験解析を発展させる。また、国立遺伝学研究所で構築・公開されている、タンパク質の立体構造予測データベースGTOPも用いることによって、この糖転移酵素の立体構造の詳細と基質が付着する酵素表面の特定をめざす。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Amita F.: "Development of a High-temperature and High-pressure Nuclear Magnetic Resonance Probe for Supercritical Water"Rev.Sci.Instru.. 75. 467-471 (2004)
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[Publications] Katoh E.: "13C Nuclear Overhauser Polarization-Magic Angle Spinning (NOP-MAS) NMR Spectroscopy in uniformly 13C-labeled Solid Proteins"J.Am.Chem.Soc.. 126. 3653-3657 (2004)
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[Publications] Takegoshi K.: "13C-1HDipolar-Driven 13C-13C Recoupling without 13C rf lrradiation in NMR of Rotating Solids"J.Chem.Phys.. 118. 2325-2341 (2003)