2003 Fiscal Year Annual Research Report
新しい創薬を目指したアラキドン酸代謝系酵素の構造解析
Project/Area Number |
15310158
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
井上 裕康 国立循環器病センター研究所, 薬理部, 室長 (40183743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
月原 冨武 大阪大学, 蛋白質研究所・物理構造, 教授 (00032277)
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Keywords | プロスタグランジン / 組換え蛋白質 / アラキドン酸 / 創薬 / 大腸菌 / 大量発現 / エイコサノイド / シクロオキシゲナーゼ |
Research Abstract |
シクロオキシゲナーゼ(COX)はプロスタグランジン産生の律速酵素で、アスピリンをはじめとする非ステロイド性抗炎症薬の標的分子として広く認められている。COXにはCOX-1とCOX-2の2種類のアイソザイムが存在するが、COX-2に選択的な阻害剤が開発され、COX-1活性阻害に由来する副作用の少ない新しい抗炎症薬として欧米で広く処方されている。我々はCOX-2にも生理学的役割があることを明らかにしたが、実際COX-2選択的阻害剤によっても副作用があることがわかってきた。そこで、新しい創薬の標的としてPG産生に関わる膜蛋白質群を考え、それらの結晶構造を解明し、新しい創薬開発の基盤を作ることを目的とする。 1.膜結合型PGE合成酵素(mPGES):pET系発現ベクターを種々検討したところ、N末にHis-tagを持つpET14bにより大量発現できることがわかった。この場合は膜タンパク質に対するプロテアーゼ欠損の大腸菌を用いて、最も効率の良く発現できた。さらに1)このタンパク質がPGE産生活性を有する活性型のタンパクであること、2)アミノ酸分析の結果、予想されるタンパク質の配列を有することがわかった。 2.FLAP:C末にHis-tagを持つpET21aを用いることで大量発現できることがわかった。さらに1)このタンパク質が脂肪酸に対する結合活性を持つこと、2)アミノ酸分析の結果、予想されるタンパク質の配列を有することがわかった。 3.核内受容体PPARα:上記、mPGESおよびFLAP両方の標準的な阻害剤としてMK-886が同定されているが、このMK-886は同時に核内受容体PPARαのアンタゴニストであることが報告された。そこでmPGES,FLAP,PPARαそれぞれに選択的阻害剤を開発するためにはそれぞれの立体構造を明らかにする必要がでてきた。また一方で赤ワインに含まれるポリフェノール/レスベラトロールが1)PPARαにより選択的に活性化すること、2)脳保護効果がPPARαを介して持つことを明らかにしたので、PPARαに関しても大腸菌での発現系を構築し、大量発現を行った。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] C.Yokota: "Post-ischemic cyclooxygenase-2 expression is regulated by the extent of cerebral blood flow reduction in non-human primates."Neurosci.Lett.. 341. 37-40 (2003)
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[Publications] Y.Taba: "15-Deoxy-Δ^<12,14>-prostaglandin J2 and laminar shear stress stabilize c-IAP1 in vascular endothelial cells."Am J Physiol Heart Circ Physiol.. 285. H83-H46 (2003)
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[Publications] C.Yokota: "Cyclooxygenase-2 expression associated with spreading depression in a primate model."J.Cereb.Blood Flow Metab.. 23. 395-398 (2003)
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[Publications] W.C.Haung: "Tyrosine Phosphorylation of I-kappaB Kinase alpha/beta by Protein Kinase C-Dependent c-Src Activation Is Involved in TNF-alpha-Induced Cyc"J.Immunol.170,4767-4775. 170. 4767-4775 (2003)
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[Publications] S.Han: "Control of COX-2 gene expression through peroxisome proliferator-activated receptor γ in human cervical cancer cells."Clin.Cancer Res.. 9. 4627-4635 (2003)
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[Publications] H.Inoue: "Brain protection by resveratrol and fenofibrate against stroke requires peroxisome proliferator-activated receptor α in mice"Neurosci.Lett.. 352. 203-206 (2003)
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[Publications] 井上 裕康: "核内受容体PPARを介する誘導型シクロオキシゲナーゼの発現調節に関する研究"日本ビタミン学会. 9 (2003)