2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15310168
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉田 芳史 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (90197567)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 幹 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (50253290)
河原 祐馬 岡山大学, 法学部, 教授 (50234109)
片山 裕 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (10144403)
左右田 直規 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (30345318)
横山 豪志 筑紫女学園大学, 文学部, 講師 (80320381)
|
Keywords | 多国籍 / 政治学 / 地域研究 / 民主化 / 政治的安定 / 選挙 |
Research Abstract |
本研究は民主化と安定の両立を可能にしうる政治制度の設計という観点から、韓国、フィリピン、インドネシア、マレーシア、タイ、カンボジアの6カ国を取り上げ、民主化過程を実証的に比較検討することを目的としている。本年度は各国の政治の安定を脅かす要因として重要なものは何かを探り出すことに重点をおいて研究を進めた。 2003年のカンボジアに続き、2004年にはマレーシア、韓国、フィリピン、インドネシアで、2005年にはタイで、国政選挙が予定されている。選挙が一因となって政治が緊迫の度合いを高めつつあるのは、民主化が進んできた証拠といえる。 フィリピンとインドネシアに続いて、2004年には韓国でも大統領弾劾が行われた。対照的に、議院内閣制のタイでは首相への不信任案の提出には下院議員の4割以上の賛成が必要とされ、与党議員が6割を超える現状では罷免は難しい。行政責任者罷免の難易度が適正な水準に保たれないと政治は深刻な不安定に陥る可能性があるといえそうである。これは行政府と立法府の関係をどう制度設計するかという点の重要性を示してもいる。 東南アジアにはイスラーム復興運動のうねりが押し寄せて不安定化要因になりつつある。2004年3月のマレーシア総選挙では穏健路線の与党が勝利をおさめて国民の安定志向が示された。民主政治による安定の実現である。少数派が選挙結果を尊重するかどうかが鍵になる。タイの事例は穏健派が過剰な取締を慎むことの大切さを教えている。 最後に、カンボジアは2003年7月に総選挙が実施しながら、半年たっても新政権は正式発足していない。これは民主化と安定がともに外国からの援助と監視に大きく依存する結果生じている事態である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 玉田芳史: "タイの民主化と安定"日本研叢書30-I『日本の政治経済とアジア諸国・上巻』. 30-I. 21-37 (2003)
-
[Publications] 玉田芳史: "タイ政治の変容"アジア遊学. 57. 23-33 (2003)
-
[Publications] 木村 幹: "近代と文化に関する仮説的考察-比較文化研究への一視座として"国際協力論集(神戸大学大学院国際協力研究科). 11巻1号. 83-105 (2003)
-
[Publications] 河原祐馬: "ラトヴィア共和国の市民権政策と『非市民』の帰化プロセス"岡山大学法学会雑誌. 53巻3・4号. 63-89 (2004)
-
[Publications] 左右田直規: "ニュータウンのムスリム社会"東京外大東南アジア学. 9巻. 106-122 (2004)
-
[Publications] 横山豪志: "インドネシアの民主化についての一考察:"政治3法"の制定過程を中心に"筑紫女学園大学紀要. 16号. 175-195 (2004)
-
[Publications] 玉田芳史: "民主化の虚像と実像:タイ現代政治変動のメカニズム"京都大学学術出版会. 364 (2003)