2003 Fiscal Year Annual Research Report
AID当事者の語りからみる配偶子・胚提供が性・生殖・家族観に及ぼす影響
Project/Area Number |
15310176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
長沖 暁子 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (80118984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 清美 東京医科歯科大学, 保健衛生学研究科, 助手 (70323673)
柘植 あづみ 明治学院大学, 社会学部, 教授 (90179987)
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Keywords | AID / 非配偶者間人工授精 / 出自を知る権利 / カウンセリング / 生殖補助医療 |
Research Abstract |
AID当事者がAIDを通して、どのように考え、受け止めているのかその実態を知るために、国内外において調査をすすめた。8月にはオーストラリアのヴィクトリア州、ニューサウス・ウェールズ州で、AIDで子どもを持った親11名、AIDで生まれた子ども2名、ドナー1名、医療関係者8名、行政関係箇所2ヶ所、研究者1名、およびAIDに関連する自助グループの代表者2名に、オーストラリアにおけるAIDの状況について聞き取り調査を行った。12月にはオーストラリアからAIDで生まれた子どもとAIDカウンセリング専門のカウンセラーを招聰し、東京でシンポジウムを開催した。参加者は100名を超え、新聞紙面やマスコミでも報道された。またこのシンポジウムを機会に日本でも研究に協力する意志を持つAID当事者からの連絡も得られるようになっている。国内ではAIDで生まれた子ども4人とAIDで子どもを持とうとしている女性1人、および医療関係者2名にインタビュー調査を済ませている。これらのインタビューの準備やフォローアップのために、年間で計20回の研究会を開き、そのうち6回は外部講師を招いた。 厚生科学審議会生殖補助医療部会では第三者の精子・卵子・胚を用いた生殖補助医療についての検討の中で「出自を知る権利」を認めると結論づけたが、現在までの国内外での研究調査を通して、カウンセリングのあり方や、ドナーの情報提供の範囲など、日本ではまだ当事者に必要な制度の検討が不十分であることがわかった。同委員会では精子のみならず、第三者の配偶子や胚の利用も容認する結論を出しているが、こうした医療技術が、これによって形成される家族や、さらに社会にとって何をもたらすかを分析するためには、さらなる綿密な調査が不可欠であると思われる。今後も引き続き、AIDにかかわる当事者、医療関係者にインタビューを重ね、調査をすすめる予定である。
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Research Products
(2 results)