2005 Fiscal Year Annual Research Report
AID当事者の語りからみる配偶子・胚提供が性・生殖・家族観に及ぼす影響
Project/Area Number |
15310176
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
長沖 暁子 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (80118984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 清美 東京医科歯科大学, 保健衛生学研究科, 助手 (70323673)
日下 和代 東京医科歯科大学, 保健衛生学研究科, 助手 (40302872)
柘植 あづみ 明治学院大学, 社会学部, 教授 (90179987)
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Keywords | AID / 非配偶者間人工授精 / 出自を知る権利 / カウンセリング / 生殖補助医療 |
Research Abstract |
AIDに関わった当事者の現状、意識を明らかにし、どのような法的、社会的、精神的ケアが必要かを検討するために、AIDで生まれた人、AIDを受けた女性、精子提供者、医療関係者への聞き取り調査をすすめた。また日本産科婦人科学会のAID実施登録施設への質問紙調査を平行して行った。 インタビューから、AIDで生まれた人は事実を知ることにより怒り・不安を中心とした否定的な感情を強く感じていた。怒りは医師、AIDそのもの、さらに告知をした母親に向かっていたが、時間がたつにつれ母親への怒りは和らぎ、告知以前に父親との関係がよくなかった事例では父親への感情も好転していた。協力者全員が事実を知ったことはよかったと感じ、成人以降に知った事例ではもっと早く知りたかったと感じていた。また全員がドナーに会うことを望んでいた。現在、出自を知る権利としてドナーの基本情報だけが考えられているが、生まれた子どもはドナーの人間性を知ることを望んでおり、制度の検討が必要だと考えられる。 一方、AIDを選択した女性は喪失感情を癒すことや情報がないまま治療に入り、夫婦のコミュニケーションや子育てなどに問題を抱えるものがあり、本音を語れる場や同じ問題を持ったものが集える場を必要としていた。日豪の比較から子どもへの告知においては、大きな差があり、制度的、社会的な状況の違いの上に、国内では告知に否定的な医師からの情報しか得られず、生まれた子どもの声が伝えられていないなど情報の量と質、支援制度に差があることに派生していると考えられた。 これらの調査の分析結果は2005年度に日本家族社会学会、日本生命倫理学会、日本不妊看護学会、日本医学哲学倫理学会、Donor Conception Symposium(トロント)で発表した。
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Research Products
(3 results)